路上生活より過酷な彼女たちの生。これがいまの日本の現実なのか?

ダ・ヴィンチニュース / 2014年11月25日 12時20分

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『最貧困女子』(鈴木大介/幻冬舍)

 軽い気持ちで『最貧困女子』(鈴木大介/幻冬舍)読み始めたが、こんなに暗く救われない思いにとらわれるとは…。最貧困女子。この本でそう呼ばれているのは、低所得に加えて、家族の無縁(助けてくれる家族親戚がいない)、地域の無縁(苦しい時に相談できる、助言してくれる友人、知人がいない)、制度の無縁(生活保護など、社会保障制度から漏れてしまっている、または制度そのものを知らない)の「三つの無縁」と、精神障害、発達障害、知的障害の「三つの障害」がさまざまに重なり合って、困窮を極めた生活を送っている女性のことであり、そしてそれはセックスワークの最下層で生きる10代から20代の女性たちとぴたりと重なる。

【画像あり】『最貧困女子』の中面をチェック

 セックスワークの最下層、つまり生活のために、その日の寝場所、食べ物を確保するために、身を売って生きている少女たちがいるということに、まず衝撃を受けた。なんでそんな状態に陥るのか。彼女たちの生い立ち、堕ちていく過程はほぼ似通っている。たいてい家出をしてセックス産業に取り込まれ、そこから抜けられなくなっていく。一見「自己責任」と切り捨てられかねない状況だ。家出少女=非行少女で、元々素行が悪いのだから、そういう最低の世界に堕ちていくのはしょうがない。自業自得。そういう論調が世の中の主流だし、現に私もそう思っていた。

 だが、筆者は丁寧な、そして丹念な取材を通して、なぜ少女たちが非行に走り、札付きの悪ガキ(!)と化し、ついには家出してセックスワークを選んでしまうのか、そしてそこから抜け出せず、最下層に沈んでいくのかを、詳細に明らかにしていく。あまりにも悲惨で壮絶な世界…。実際に見て聞いた筆者の衝撃とは比べ物にならないけれど、それでも読むだけでぐったりする。とてもそのまま放置しておくわけにはいかない! が、しかし…。いったいどうやって、彼女たちを救い上げればいいのか? その問いはあまりにも重い。

 最貧困女子という、まるで戦後の赤線みたいな状況下で生きている女性が、この平成の日本に存在するというきつい現実。彼女たちの10年後、20年後を思うと、本当にやりきれない。ずっと身を売るために街に立ち続けるのだろうか、それとも、年をとり、売れるものがなくなり、本当のホームレス(見えるホームレス)となってやっと、社会的支援が受けられるのか…。粗野で攻撃的、自分から社会との縁を断ち切ってしまう、普通の会話が成り立たない、めんどくさくて可愛くない彼女たち。その圧倒的な不幸、孤独が見えにくい彼女たちの「現実」を、興味本位の差別の目ではなく、冷静で公平な目で見つめる、そのきっかけを与えてくれる真摯な1冊。

文=yuyakana

ダ・ヴィンチニュース

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