嵐・相葉雅紀主演で映画公開中! 4人の男女の片思いに奇跡は起きるのか?

ダ・ヴィンチニュース / 2014年12月1日 12時20分

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『デビクロくんの恋と魔法』(中村航/小学館)

 毒々しくも美しい夕焼けを見ながら世の中にあるものは全て人間にとって害なんじゃないか、今日という日は今日以上の明日を経験しにくくしているのではないかという気がしてきました。日を追うごとに毎日が悪い方向に傾倒していくのではないかと怯えてしまうのは、明日に自信が持てない証拠。中村航著『デビクロくんの恋と魔法』(小学館)の登場人物に惹かれるのは、何だかどの人も自信なさげで、放っておけないからでしょうか。相葉雅紀主演で11月に映画が公開となったこの作品は、読めば読むほど、自分らしく生きること自信が湧いてくる気がしてくる作品です。

【画像あり】『デビクロくんの恋と魔法』中面をチェック

 皆さんは、毎日、順調に暮らしていますか? 上手く行かない日々の中で、ヤケにならずにどうやってバランスをとっていますか? この物語の主人公・書店員の光は、絵本作家になることを夢見ながらも、夜の闇が街を包むと彼は謎のキャラクター・「デビクロくん」に変身。ポスト、電信柱、車のフロントガラスなど、街中のあらゆる場所にオリジナルイラストとメッセージの描かれた「デビクロ通信」を投下しています。無欲で優しい性格の光とは思えない大胆な行動をとることで、彼はどうにかやりきれない日々を暮らしているのでしょう。優しい日中の明るい光と、デビクロくんになって街にチラシをバラまく闇ともいえる彼の姿。そんなある日、彼は運命の人と思える一人の女性に出会います。ですが、その人は、元恋人のことが忘れられないようで…。やる瀬ない思いに悩む登場人物たちが切なくてたまりません。

 一番辛い思いをしているのは、唯一、光がデビクロであるという秘密を知り、彼に片思いをしている杏奈ではないでしょうか。道端で出会った女性に一目惚れをした光は、杏奈に「運命の人に出会った」ことを嬉々として伝え、アプローチする方法をも相談するのです。「デビクロ通信」にも「愛しくて切なくて恋しくて。僕の運命の人はどこにいるの? もう一度、会いたい」なんて甘ったるい言葉を書いてバラまいて、部屋で食事も食べずにふさぎ込みがちな光。彼はなんて冴えない男なんでしょう。ヘタレにしたって、草食系にしたって、杏奈へのこの仕打ちはあんまりです。ですが、杏奈はどうしても彼のことが放っておけない。光の恋が上手くいけば行くほど、杏奈は辛い思いをするとわかっているのにも関わらず、光の恋を応援しようとします。その健気さたるや!「こんな男は辞めて、良い恋をしなさい!」とお節介に声をかけたくなってしまう読者は私だけではないでしょう。

 ですが、これこそが恋ではないでしょうか。もしかしたら、愛と呼べるかもしれない。思いが報われても報われなくても、相手の幸せを願う杏奈の真っすぐさに胸打たれます。辛い恋はイヤだけれど、光にしても、杏奈にしても、誰かを真剣に愛することって良いことだな、自分も恋をしたいな、という気にさせられます。恋人たちの季節を前に、今、一番読んでおきたい、といえるかもしれない1冊です。

文=アサトー ミナミ

ダ・ヴィンチニュース

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