魔女たちは笑い、傷つき、恋をして生きていく。様々な魔女たちの物語

ダ・ヴィンチニュース / 2014年12月9日 12時0分

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『現代魔女図鑑』(伊咲 ウタ /一迅社)

 その世界で暮らす数%の人々は「魔女」だ。比喩でもなんでもなく、「魔女」だ。それはその世界では特に驚くべきことでもなんでもなく、魔女がもつ魔力というのは先天的な与えられた能力の一つとして数えられ、それを持つか否かは将来の進路を考えるための判断材料のひとつになる。あくまでそれは無限に広がる人間の可能性のひとつであり、わたしたちが大抵のケースにおいて、生まれながらに類稀なる美声を持つ人とか、絵の才能を持つ人とか、素晴らしい身体能力を持つ人たちを必要以上に妬まないように、その世界では、あくまでそれは「個性」のひとつとしてとらえられているようだ。そんな、「魔女が当たり前にいる世界」で暮らしている魔女たちのオムニバスストーリーが、この『現代魔女図鑑』(伊咲 ウタ /一迅社)だ。

【画像あり】『現代魔女図鑑』中面をチェック

 魔女は、魔女の血を持っている人間にしかなることはできない。男女問わずに存在し、その能力にも個人差がある。魔女だからといって必ずしも女のみではないし、魔女だからといってなんでもかんでもできるわけではない。
魔女だからといって彼・彼女たちは、最初からすべてを約束されたビューティフォーでマーヴェラスなギフテッド、というわけではない。

 例えば自分や他人の生き死にをどうこうすることができなかったり、能力不足で誰かを救うことができなかったり、魔女ではないふつうの人たちに距離を置かれ、煙たがられ、そんなひそかな孤独をずっと心に抱えていたりする。
むしろ彼・彼女たちは孤独だ。世界にたった数%しかいないギフテッドは、暗にその他大勢の「与えられていない者たち」への奉仕を求められている。基本的に、与えられていないものが与えられているものたちに向ける目は冷たく、無理解だ。与えられているものたちが与えられていないものたちのことがわからないように、魔女たちは世の中のほとんどの人たちから理解されることがないままに生きていく。

 しかし、大抵において私たちも孤独で、大抵において他人を理解できず、他人からも理解されず、たまに訪れる気持ちが通じ合う瞬間に泣きたいぐらいに嬉しくなったりする。それで言えば、魔女も私たちも変わらないのだ。
この物語は、ちょっと変わった女の子(時々男の子)たちが、誰かに理解されたくて頑張ったり、誰かに理解されなくて泣いたり、つまりはきっと、そういう物語だ。

文=kujira

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