「うどん」じゃ駄目ですか? 年越しが「そば」な理由

ダ・ヴィンチニュース / 2014年12月28日 11時30分

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『日本人の「食」、その知恵としきたり―なぜ、切れやすい年越しそばが長寿の象徴なのか』(永山久夫/海竜社)

 「そば」派の方も、「うどん」派の方も、世は年末。年の瀬である。いくら「うどん」愛が強くても、大晦日は、「そば」を食べるという人が多いのでは? それに「年越しうどん」という言葉は聞かないが、「年越しそば」という言葉は辞書にもちゃんと載っている。

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 では、なぜ年越しに「うどん」ではいけないのだろう? 『日本人の「食」、その知恵としきたり』(永山久夫/海竜社)で、“なぜ年越しは「うどん」ではなく「そば」なのか”を調べてみた。

 そもそも、「年越しそば」の習慣が始まったのは、江戸時代中頃のこと。年越しに食べるものが「そば」だった理由は、「縁起担ぎ」にある。この縁起には諸説あるものの、有力なのは次の2つだ。

【1】“細く長く”という形体にあやかり、長寿を願う。
【2】“切れやすい”という食感にあやかり、災厄を断ち切ることを願う。

 なるほどと納得しつつも、【1】の“細く長く”は「うどん」にも当てはまるので、長寿を願うだけなら「うどん」でも構わないのではないか? 【2】の“切れやすい”だって、「うどん」の中にはコシを重視しない“切れやすい”ものもあるし…などとも言いたくなる。

 ところが本書によれば、【2】の“切れやすさ”は原料について考えると、確実に「そば」にその軍配は上がるというのだ。

 「そば」の原料であるそば粉には、「うどん」の原料の小麦とは異なり、延びる成分(グルテン)が入っていない。現在、我々が口にする「そば」の多くは、山芋やタマゴをつなぎとして混ぜて伸びやすくしているため“切れにくく”なっているだけなのだ。

 また、2つの縁起をどちらも満たそうとすると、やはり年越しには「うどん」でなく「そば」なのかもしれないと思わせる“時間のいたずら”もある。

 実は「そば」につなぎを入れる製法は、江戸時代前期に広まったもの。「そば」は、このとき初めて “細く長く”なった。つまり、年越しの恒例となる少し前にタイミングよく“細く長く”なったのである。なお、江戸では「二八そば」が一般的で、そば粉を8割、小麦粉を2割の割合で混ぜていたという。だから、つなぎを入れないと伸ばせない「そば」は、江戸時代以前は団子状で、そばの実を粉状にしたところに熱湯を加えまとめていたようだ。

 その他、本書では次のような「年越しそば」に関する縁起も紹介されている。

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