栄養バランスのよい献立とは?年齢に応じた考え方や3食の構成例も解説!
楽天レシピ デイリシャス / 2022年7月21日 9時0分
こんにちは!管理栄養士の小嶋 絵美です。
突然ですが、皆さんは毎日バランスのよい食事を摂っていますか?
「健康のために栄養バランスのよい献立にしたい」と願うものの、実際に「バランスのよい献立にできている!」と自信を持って言える人は少ないかもしれません。
ついつい好きなものばかり食べてしまったり、栄養よりもおいしさで選んでしまったり、忙しくてバランスを考える余裕がなかったり…。
食事は毎日の楽しみでもあって、自由に選びたいからこそ管理が難しいですよね。
そこで、今回は「そもそも栄養バランスのよい献立って?」という素朴な疑問から、基本的な栄養素とそのバランス、具体的な献立例まで
食と栄養の専門家である管理栄養士として詳しく解説します。ぜひ、参考にしてくださいね!
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栄養バランスの考え方!基本の栄養素とエネルギー産生栄養素とは
まず、エネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物を「エネルギー産生栄養素」といいます。
これにビタミン、ミネラルをプラスしたのが基本の栄養素です。
基本的には、これらの栄養素をバランスよくとることが大切です。
≪基本の栄養素と主な働き≫
炭水化物:身体と脳が元気に働くために必要なエネルギー源
脂質:エネルギーになるほか、細胞膜やホルモンの材料にもなる
たんぱく質:筋肉だけでなく臓器や骨など全身の組織や免疫細胞の材料にもなる
ビタミン:エネルギー代謝を助ける、免疫力やアンチエイジングに関わる
ミネラル:骨や血液の材料になるほか、代謝アップ、神経伝達を保つなどの働きがある
これらの栄養素をバランスよくとることが大切ですが、詳しくは厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』という資料に記載されており、性別、年齢、活動量などによって数値が変わります。
学校給食などでは、栄養士や管理栄養士がこの値を参考に栄養計算をして、バランスの良い献立を作成しているんですよ!
例えば成人の場合、一般的な生活をする人の場合の基準値は以下です。
●成人男性(30~40代男性/身体活動レベルふつう)
推定エネルギー必要量:2700kcal/日
炭水化物(目標量):50~65%エネルギー
脂質(目標量):20~30%エネルギー
たんぱく質(推奨量):65g/日
●成人女性(30~40代女性/身体活動レベルふつう)
推定エネルギー必要量:2050kcal/日
炭水化物(目標量):50~65%エネルギー
脂質(目標量):20~30%エネルギー
たんぱく質(推奨量):50g/日
※身体活動レベルは「低い・高い・ふつう」の3段階あり、「ふつう」というのは、例えばデスクワークで通勤など軽い運動をする機会のある人です。日本人のほとんどは身体活動レベル「低い」または「ふつう」に該当します。
※脂質と炭水化物の目標量はエネルギー比率という表記になっています。
・炭水化物エネルギー比率(%)=炭水化物(g)×4/総エネルギー(kcal)×100
・脂質エネルギー比率(%)=脂質(g)×4/総エネルギー(kcal)×100
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html)
栄養バランスのよい食事を構成する要素と選び方
バランスのよい食事を摂りたいものの、普段の食事に含まれる栄養素をg単位で管理するのは難しいですよね。
そこで、主食、主菜、副菜など5つにに分け、どんな食材、栄養素が含まれているのか整理しました。
≪料理を5つに分類した場合の主な食材と栄養素≫
(1)主食:ご飯、パン、麺類など(炭水化物を多く含む)
(2)主菜:肉、魚、卵、大豆など(たんぱく質を多く含む)
(3)副菜:野菜、きのこ、いも、海藻(ビタミン・ミネラルなどを含む)
(4)牛乳・乳製品:牛乳・ヨーグルト・チーズなど(カルシウムを補給できる)
(5)果物:りんご、バナナ、みかんなど(ビタミンCやカリウムを補給できる)
※カレーライスや丼ものは(1)~(3)それぞれの要素を含むものとしてカウントします。
(1)~(3)が毎食揃った一汁二菜(または一汁三菜)という基本の食事に加えて、(4)、(5)を1日1~2回程度の食事でプラスできるといいですね。
このように整理してみると、野菜や果物が少ない食事では、ビタミンやミネラルが不足しがちなこともよく分かります。
年齢別にみる食事の栄養バランスのとり方
バランスのよい食事にするため、ライフステージによって気を付けたいポイントは変わってきます。以下、年齢別にまとめました。
・幼児期(2歳~5歳頃)
成長のためによく食べよく動くのが大切ですが、第一次反抗期や味覚の発達により、好き嫌いに悩まされる時期でもあります。
さらに消化・吸収機能が未熟で1回の食事量が少ないため、3食では足りない分をおやつ(間食)で補うのがポイントです。
・学童期(5~12歳頃)
学校生活がはじまり、3食の食事と生活リズムを整えたい時期です。
朝から脳と身体が元気に働くよう早寝・早起をして朝食をしっかり食べましょう。
身長や体重も急激に成長するため、たんぱく質やカルシウムが不足しないよう気を付けます。
・思春期(12歳~18歳頃)
大人になるための準備段階で必要な栄養素が増加します。
受験勉強などにより生活が乱れやすいので、3食バランスよく食べることが大切です。
容姿やおしゃれが気になってくる時期でもありますが、極端な食事制限やダイエットは避けたいところです。
・成人期
ライフスタイルが大きく変化して、食事を気遣うのが難しくなる頃です。
大人になっても変わらず、3食バランスのよい食事を摂りましょう。適度な運動やリフレッシュ、体重管理も大切です。
また、お酒が好きな人は飲み過ぎに気をつけたいですね。
・高齢期
消化・吸収機能や味覚の低下によって偏った食事になりがちです。
高齢者の栄養不足はフレイル(慮弱)の原因になり、深刻な問題に。
エネルギーとたんぱく質をはじめ、基本の栄養素が不足しないよう気をつけ、3食バランスよく食べましょう。
栄養バランスのよい献立を考えるコツは?
ここまでは栄養バランスについて、基本の栄養素と主食、主菜、副菜など各料理に含まれる主な栄養素と働き、ライフステージに応じて気を付けたいポイントをお伝えしました。
さて、ここからは実際に、栄養バランスのよい献立を立てるための5つのコツをご紹介します。どれも簡単で、今日からすぐ実践できる内容ですよ。
ぜひ普段の食生活に取り入れてみてくださいね!
(1)1日~数日、数日~1週間の単位で考える
普段の食事を「毎食」や「1日」という単位で考えると管理に追われてしまいますよね。
でも実は、栄養バランスを良くしたいといって、毎日完璧な献立を目指さなくてもいいんです!
実際、学校給食でも1週間や1ヶ月の単位でバランスが整うような献立を、栄養士や管理栄養士が考えています。
そのため、普段の食事でも1日~数日、または数日~1週間というある程度まとまった単位で、栄養バランスが整うように意識すれば大丈夫ですよ。
(2)肉と魚のバランスをとる
皆さんは、肉と魚どちらをメイン料理に選ぶことが多いでしょうか。どちらもたんぱく質源として大切な食材ですが、主に以下のような特徴があります。
・肉…代謝をアップするビタミンB群や、不足しがちな鉄分を含む。
・魚…魚ならではの栄養素「DHA」や「EPA」が青魚に多い。
そのほかにも含まれる栄養素は種類によってまちまちですが、バランスを考えると肉なら赤身など脂質が控えめな部位を選ぶと、脂質の摂り過ぎを防げます。魚は塩分の多い加工品よりも新鮮な旬の生魚を選ぶのがおすすめです。
どちらかに偏らないよう、夕食のメインは肉、魚を交互にするなど、バランス良く選びたいですね。
(3)朝昼夜の3食の食べ方を見直す
「朝はしっかり食べる」「夜は食べ過ぎない方がよい」というイメージがありますが、具体的に3食をどのくらいの比率でとるのがよいかについて解説します。
3食のバランスをエネルギー量で見た場合、比率は朝食:昼食:夕食=3:4:3のバランスがよいとされています。
朝食と夕食は、昼食よりも軽めにするのがおすすめです。
また、食事は食べるタイミングも大切です。
昼食を12時と仮定すると朝食は9時までに、夕食は寝る3時間前までに済ませましょう。
帰りが遅くなるときは夕方に軽食をとって、その分夕食は軽めに。消化によいものを選ぶといいですよ。
バランスのとれた朝食・昼食・夕食の献立例
これまでの内容を踏まえて、主食、主菜、副菜などをバランス良く食べられる朝食・昼食・夕食の献立例をご紹介します。
無理なく取り入れるためのポイントも合わせてご覧ください。
≪朝食≫
・主食:食パン
・主菜:目玉焼き
・副菜:トマトサラダ、根菜のスープ
・果物:りんご
・牛乳/乳製品:牛乳
【ポイント】
副菜やスープは夕食の残りや作り置きを活用して時短する。
≪昼食≫
・主食・主菜・副菜:カレーライス
・副菜:ブロッコリーのサラダ、オニオンスープ
・果物:みかん
・乳製品:ヨーグルト
※カレーは肉や野菜を含むため、主食・主菜・副菜の3項目のカウントとなります。
【ポイント】
ヨーグルトなどコンビニでも手に入るバランスアップ食材を使う。
≪夕食≫
・主食:ご飯
・主菜:鮭の塩焼き
・副菜:ほうれん草のお浸し、キャベツの味噌汁
【ポイント】
消化に時間のかかる揚げ物などは控え、よく噛んで食べる。
※2000kcal~2400kcal/日を目安とした場合、分量はすべて1人前。
※3食のほかに間食をする場合は、1日200kcalを目安に食べるのがおすすめです。
主食と一緒に摂りたい汁物レシピ
副菜を作る時間がないときは、野菜をたくさん使ったスープや味噌汁を作って、バランスを整えるのがおすすめです。
使うのは冷蔵庫にある野菜でOK!さつまいも、にんじん、だいこん、長ねぎなど食べやすく切った野菜をたっぷり入れて煮込みましょう。
「料理をするタイミングを逃して冷蔵庫の野菜を腐らせてしまうことがある…」という方は、冷凍野菜を活用するのもいいでしょう。
さらに、食べ応えをアップするなら、豚肉をいれて豚汁風にしてもいいですね。
使う材料に正解はありません。下記レシピも参考に、お好みで作ってみてくださいね。
「野菜たっぷり♪さつまいもほっこり豚汁(レシピ動画)」
このレシピをチェック ⇒ https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1110008360/
栄養バランスを意識した献立を考えてみよう
今回は栄養バランスのよい献立について解説しました。
今までは「そもそも栄養バランスのよい献立って?」と思っていた方も、よりイメージが具体的になったのではないでしょうか。
栄養バランスはとても重要ですが、食事は1日3回の楽しみな時間でもあります!
ひとりひとりのライフスタイルや個性に合わせて、できる範囲でバランスのよい献立を考えましょう。
難しく考えすぎず、日々の食事を楽しんでくださいね!
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