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富裕層のニーズを満たす台北新店 最先端めざすビームスの台湾戦略とは

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年1月11日 20時59分

フォーマルとカジュアルがバランス良く並ぶ

ビームス(東京都/設楽洋CEO)の海外子会社である碧慕絲股份有限公司(BEAMS TAIWAN Co., Ltd.)が、107日に「BEAMS 新光三越 DIAMOND TOWERS」をオープンした。台湾で8店舗目となる同店は、ハイクラスをターゲットとし、ビジネスウエアや上質なカジュアルウエアなどを軸に商品を展開。変わりゆく台湾ファッションのハブを目指す。

富裕層が集まる台湾の銀座に大人向けの店舗

ビームス台湾
フォーマルとカジュアルがバランス良く並ぶ

 店舗を構える台北市大安エリアは、台北の銀座と呼ばれ、百貨店やファッションブランドが並ぶ。「新光三越 ダイヤモンドタワーズ」は、そんな台北で最も栄える地区に新たに誕生した、台湾経済の勢いを象徴するようなホットスポットだ。

 商業施設には、台湾初の10のブランド、百貨店独占の7ブランドなど、合計で130のブランドが軒を連ね、まさに台湾ファッションの最先端が結集。併せて、台湾の4人のメディアアーティストが共同で空間演出を手掛け、ファッションに敏感な人びとの社交ニーズを最先端の五感体験とともに迎え入れる。

出店の狙い

ビームス現地法人の董事
現地法人の董事・原田至玲氏

 2013年に台湾1号店を出店後、2017年8月には碧慕絲股份有限公司を設立。着々と台湾での基盤を固めてきたビームス。店舗数の増加に伴い、売上も倍増している。そうした中で、今回、この場所を選んだのはどんな理由なのか。現地法人の董事・原田至玲氏は次のように説明する。

 「ここまでビームスをイメージしやすいカジュアルカテゴリーをメーンに展開してきたが、ストリートファッションだけではない趣向をお持ちの方や、モードよりの洋服が好きな方も見受けられた。そこで、富裕層も多いこの場所ではそうした方々に応えたいと考えた」。

 その言葉通り、商品構成は、ワンランク上を揃えた。

ビームス台湾商品
選択肢が少ない台湾のニーズを満たす品揃えに

 スーツやジャケットなど、メンズのビジネスウエアや上質なカジュアルウエアを扱う〈BEAMS F(ビームス F)〉〈Brilla per il gusto(ブリッラ ペル イル グスト)〉、インターナショナルな感覚でよりトレンドを意識し、あらゆるジャンルの洋服を展開する〈International Gallery BEAMS(インターナショナルギャラリー ビームス)〉のメンズアイテムや、大人の女性に向けた、 長く着られるスタンダードなアイテムを品揃えする〈Demi-Luxe BEAMS(デミルクス ビームス)〉の、台湾で初展開となる4レーベルをメインに、〈AK1(エーケーワン)〉〈Bill Wall Leather(ビルウォールレザー)〉など、日本国内の店舗においても、熱心なファンを持つブランドもラインナップに加えている。

 内装デザインは、台湾の天然石を使用した什器や、木材とステンレスのコントラストが特徴的で、これまで台湾国内で展開してきた店舗とは雰囲気の異なるハイエンド仕様。多くの富裕層が集うエリアに合わせた上質な空間に仕上げている。

富裕層のニーズを満たす場に

ビームス台湾メンズスーツ売場
メンズスーツ売場

 経済成長が著しい台湾で、さらに成熟したファッションをーー同社だからこその着眼で、トレンドの潮目を読み、よりハイクラスに訴求する店構えと品揃えで、台湾ファッションに新たな刺激をもたらす。商品に加え、店舗づくりにもそうした意欲があふれ出ている。

 「こちらに住んでみると経済発展を肌で感じる。ファッション面でも決して遅れてはいないが、日本に比べると選べる種類が多くない。そうしたニーズを満たす場所として、この店舗を機能させていきたい」と原田氏。

 日本がそうであったように、経済発展に伴って、次第にファッションにも目が向き始める。ビームスにはまさに、国内でそうした状況に立ち会い、応えてきたノウハウが蓄積されている。今度は親日国でもある台湾で、しっかりと状況に合わせながら、よりハイクラスへ向けたレーベルの投入で、潜在的に膨張しているニーズに応えていく。

 「温暖な気候の台湾では、ネクタイを締めたりスーツを着たりする習慣が一般的ではない。しかしファッションは外からの刺激で変わっていくもの。やはりいろんな格好をしている人がいる方がおもしろい。台湾もそうなるのではないか。おこがましいが、そのきっかけにこのお店がなれたらいいと思う」(原田氏)

台湾ファッションの成熟をサポート

ビームス台湾のスタッフたち
訪台した日本のチームと台湾の現地スタッフ

 単に商品(モノ)を売るだけでなく常にカルチャーを楽しみながら、着る意味や価値までを意識させるのがビームスのアイデンティティ。親日国である台湾は、日本ファッションへの感度も高く、昨今は若者のおしゃれ度も急速に高まっているという。

 「出店した当初はビームスを知らない人がほとんどだったが、この10年で大きく変わった」と原田氏。そこに貢献したのは、ビームス好きの台湾人スタッフの存在だ。ひときわおしゃれなスタッフが、ビームスの魅力を体現し、店頭で着実に浸透させていった。

 今後は、イベント開催や企業間コラボなど、ビームスの強みを活かしつつ、台湾スタッフが得意なSNSも積極的に活用し、多角的に訴求。人材育成も強化しながら、カジュアルからさらにワンランク上のファッションを台湾に浸透させ、アジアにおけるビームスの存在感を改めて示していく。

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