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クスリのアオキHDがM&Aを加速! ついに四国にも進出へ 

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年1月10日 20時59分

クスリのアオキ能生店 店舗概要 ●所在地: 新潟県糸魚川市大字能生1887-1 ●開業日: 2023年7月12日 ●営業時間: 9:00~22:00 ●アクセス: えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン「能生」駅から徒歩8分、北陸自動車道「能生」ICからクルマで5分

クスリのアオキホールディングス(石川県:以下、クスリのアオキHD)が、愛媛県のスーパーを子会社化して四国に進出することを発表した。静岡県と岐阜県の食品スーパーおよびホームセンターの事業譲受も明らかにしており、ここ数年注力してきた地場スーパーのM&A(合併・買収)にアクセルを踏み込んでいる。その先の展望とは。

15店舗を展開する愛媛の地場スーパーを手中に 四国全土での出店も表明

クスリのアオキHDの青木宏憲社長
クスリのアオキHDの青木宏憲社長

 クスリのアオキHDは1月5日、愛媛県内で15店舗を展開する食品スーパー、ママイの株式を 33.4%取得し、3月1日付で持分法適用会社化すると発表した。

 ママイは愛媛県四国中央市に本部を置き、県東部の東予地方を地盤とする。2023年8月期の売上高は約86億円。21年8月期および22年8月期は100億円を超える売上高を有していた。クスリのアオキHDにとっては過去最大規模のM&Aとなり、かつ初めて四国地方に進出することとなる。

 クスリのアオキHDはママイの店舗について、「クスリのアオキ」に屋号を替え、そのほとんどをコンセッショナリーを導入した生鮮フルライン+調剤併設型の店舗に転換していく計画だ。

 1月10日に開かれた同社の24年5月期第2四半期決算説明会において青木宏憲社長は、「寡占化されたエリアに(M&Aを介さず自力で)イチから行くのは体力が必要だが、100億円くらいの売上規模がある企業を買収できれば、四国進出においてプラスの展開になる」と説明。そのうえで、「四国4県は、(地盤とする)北陸3県に比べて1.3倍の人口を有する。当然ながら愛媛だけでなく、四国全土に出店を拡大していきたい」として、ママイからの店舗転換にとどまらず、四国内での新規出店にも積極的な姿勢を示した。

中四国の競争はさらなる激化が必至に 地場SMのさらなる淘汰も進む?

ママイは愛媛県内に15店舗を展開している
ママイは愛媛県内に15店舗を展開している

 中四国地方は、食品スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアの有力チェーンがしのぎを削る、全国屈指の激戦地の1つだ。

 クスリのアオキHDが市場侵攻の足掛かりとした愛媛県だけを見ても、食品小売では「フジ」「マルナカ」「マックスバリュ」「ハローズ」、ドラッグストアでは「コスモス薬品」「ドラッグストアモリ」「レデイ薬局」、ディスカウンターでは「ラ・ムー(大黒天物産)」「ダイレックス」などそうそうたるプレーヤーが揃う(参考:「生鮮ドラッグVS食品スーパー 至近に8店、隠れた激戦地・愛媛の勝者は」)。 ここにクスリのアオキHDが一挙に10店舗超を展開することになるわけで、競争激化は必至の情勢だ。

 さらに着目したいのは、前述のとおりママイからの転換店舗の多くが生鮮フルライン型店舗になる見込みである点。同フォーマットを”生鮮供給のハブ”とすることで、本来は生鮮の加工・販売が難しい300坪程度の小型店も、生鮮を一部扱うかたちで出店することが可能になる。もちろん出店用地の確保や後述する建築費高騰を考慮する必要はあるが、理論上は青木社長が打ち出した「四国全土への出店拡大」は決して無理難題ではないだろう。

 また、すでに四国内で一定の地盤を築いている「コスモス薬品」「ドラッグストアモリ」とは一線を画した、「生鮮フルライン+調剤併設」という究極のワンストップ性を訴求できる点で、クスリのアオキHDは大きなアドバンテージを有する。実際に出店が進み店舗網が密になっていけば、ドラッグストアだけでなく、とくにママイのような地場SMが受ける影響は大きい。クスリのアオキHDの追い風になるような、さらなる”M&A案件”が生まる可能性も高いだろう。

クスリのアオキにとってM&Aの意義はより大きく

クスリのアオキ外観
出店コストが高騰する中、地場SMのM&Aの重要性はより高まっている

 クスリのアオキHDはママイの子会社化と同時に、岐阜県関ケ原町でホームセンター1店舗を運営するウッドペッカー、静岡県富士宮市で食品スーパー3店舗を展開するスーパーよどばしおよびヒバリヤからの事業譲受も発表している(いずれもママイ同様に1月5日の取締役会で決議、3月1日付で事業譲渡)。これにより、20年のナルックス(石川県)の子会社化以降、計12社のM&Aを実行することになる。

 青木社長は、「ナルックスやフクヤ(京都府)についてはM&Aから3年以上が経つが、売上だけでなく利益面でも全店平均を上回るような伸びを示している」と、これまでのM&A戦略の効果を強調。さらに、「出店数が減少している中でM&Aが出店の上乗せになっている」と言及した。

 実はクスリのアオキHDは24年5月期通期の出店数について、期初計画の70店舗から25店舗少ない45店舗に下方修正することを明らかにしている。その最大要因は昨今の建築費の高騰だ。ここ数年100店舗前後の高速出店を続けてきた同社にとっても、出店計画を見直さざるをえない状況となっている。

 そうしたなかで、既存の店舗をそのまま手中にできるM&Aが出店戦略上、これまで以上に重要な意義を持っていることは明らかだ。青木社長は来期以降の出店戦略について、「四国での出店拡大や、さらなる地場スーパーのさらなるM&Aを絡めながら、出店スピードを戻していきたい」と言及。今後、クスリのアオキHDの動きが国内各地の競争環境を一変させることになるかもしれない。

 

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