ヒュンダイ、 Amazon との提携で その顧客にリーチ

DIGIDAY[日本版] / 2018年7月31日 16時50分

ヒュンダイ(現代自動車)が7月第3週、Amazon Vehicle(ビークル)でオンラインショールームを立ち上げたのは、もっと多くの顧客にリーチするためだけではない。それは、Amazonの顧客をより良く知り、最終的には特にプライム会員に向けて宣伝するためのツールなのだ。

「Amazonはどのような人々がマーケットにいるのかを教えてくれる本当に優れた機能を持っているうえに、プライム会員もセグメント化されている。これらの人々すべてが、いずれヒュンダイブランドを体験することを望んでいる」と、北米ヒュンダイモーターのマーケティング責任者、ディーン・エバンズ氏は述べた。

Amazonにはウェブサイトを閲覧しているユーザーについての洞察があるため、ヒュンダイにとってAmazonとの提携が重要になっている。エバンズ氏は具体的には語らないが、ヒュンダイはオーガニックトラフィックの出所や特定の顧客の属性についてAmazonから知ることができるという。また、Amazonはそうした洞察にもとづいて広告を販売し、マーケティング資材を顧客にすすめるプラットフォームでもある。

Amazonのオーディエンス

デジタルショールームはAmazonの専用セクションであり、顧客はここで車種の詳細を確認し、在庫と価格の詳細を検索し、レビューを詳しく確認することが可能だ。ヒュンダイがAmazonの自動車ポータルで専用ページを立ち上げる最初の自動車メーカーになるが、オンライン自動車市場の概念はそれほど新しいものではない。トゥルーカー(TruCar)やイーベイ(eBay)のようなほかのプラットフォームでは、顧客が自動車の詳細を確認してから購入できるようになっている。

ヒュンダイの全世界での広告費は、2016年には19億2000万ドル(約1920億円)だったと伝えられている。同社の広報担当者は米DIGIDAYに、堅牢な検索とディスプレイ広告戦略を持っていると語ったが、広告費のうちいくらがAmazonに費やされているかについてはコメントを避けた。しかし、同社のマーケティング支出におけるAmazon割合は拡大していると、同氏は述べる。Amazon Vehiclesポータルでは、自動車市場の検索に関心を向けるAmazonのもっともアクティブなユーザー基盤に対して、有料キャンペーンを展開できる。

エバンズ氏は「Amazonを使えば、上質のオーディエンスを買うことが可能だ」と語り、積極的に自動車を検索するAmazonの顧客の割合はその顧客基盤全体の約3%である、とした。Amazonの顧客のなかで総勢1億人のプライム会員が、ヒュンダイにとっての主要なアウトリーチセグメントになる。年間11万2000ドル(約1120万円)以上の所得があるアメリカの世帯のうち、82%がプライム会員であると報告されている。ヒュンダイは、定期的にプライム会員基盤にリーチする計画だという。

顧客主導型のデジタル体験

ヒュンダイによるAmazonとの提携はデジタルショールームがはじめてではない。2年前に、両社は顧客がAmazonで試乗体験を予約できる機能、「プライムナウ、ドライブナウ(Prime Now、Drive Now)」を開始し、同年にAlexa(アレクサ)スキルをロールアウトした。また、ヒュンダイはウォルマート(Walmart)と協力し、フェニックスとオクラホマシティのウォルマート店舗で販売する自動車を提供しており、ウォルマートのサイトでデジタルを主にしたサービスの提供を構築しようとしている。ヒュンダイにとって、大規模なeコマース事業を運営する小売業者と提携することは、デジタル的につながった買い手であるマスオーディエンスとつながる手段になっている。同社は物理的な流通ポイントへの依存を減らし、自動車購入体験をより顧客主導型のデジタル体験にすることに重点を置いている。同社は今後5年間でバーチャルリアリティ対応のオンライン試乗体験を導入する予定で、顧客の自宅に車を発送する可能性を模索している。

こうしたアレンジメントは、いわゆる「非エンデミック(Amazonに固有でない)」な広告主(Amazonで販売していないブランド)にアウトリーチを広げる、さらにもうひとつの方法であり、Amazonの利益につながる。GBHインサイツ(GBH Insights)の最高戦略責任者、ダニエル・イブス氏によると、それは自動車市場にAmazonがより深く定着する助けになり、Amazonの最終目的は今後3年から5年でさらに多くのAlexaに実装されている機能を自動車に組み込むことだという。

ヒュンダイのAmazonマーケットプレイスは、新しい流通チャネルと顧客の洞察を凌駕するAmazonの強力なブランドイメージにもとづき、消費者のあいだでヒュンダイの評判を高めることにひと役買うだろう。

「アメリカで一番評判の高いブランドを見ると、Amazonがダントツだ。そのブランド力にすり寄ってAmazonで買い物をする消費者を獲得することに迷いはない。なぜなら、彼らはアメリカのほかのどのブランドよりも、Amazonをもっとも信頼しているのだから」と、エバンズ氏は述べた。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:Conyac)

 

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