いま広告出稿で「狙い目」は、Facebook「ストーリー」?:インスタグラム「ストーリー」の高騰を受けて

DIGIDAY[日本版] / 2018年8月28日 8時50分

たとえ負け戦でも勝ちを拾うのがFacebookだ。

インスタグラム(Instagram)のストーリー(Stories)で広告価格が高騰するなか、多角化を進める広告主が増えている。その向かう先が、より相場の安いFacebookのストーリーとなっている。

高騰するインスタ広告

本記事でインタビューを行った広告業界の4人の役員によると、Facebookのニュースフィードの広告は、ユーザーのエンゲージメントの面でインスタグラムに追いつきつつあるという。これまで広告主はFacebookの謳い文句にあまり乗り気でなかったが、同社はインスタグラムのストーリーで隆盛を見せるタテ型動画を利用して攻勢を強めている。たとえば広告自動化プラットフォームのSmartly.ioが4月にストーリーの広告に投じた資金のうち、インスタグラムのストーリーの占める額はわずか16%に過ぎなかった。

ある企業グループで取引部長を務める男性は、匿名を条件に次のように語った。「Facebook向けの予算を徐々にインスタグラムへとシフトさせている大手クライアントは1社だけではない。ターゲットとなるオーディエンスがインスタグラムに注目しているからだ。当社のクライアントは、Facebookのニュースフィードから広告を引き上げた。ビューアビリティが低いためだ。だが、インスタグラムへの広告投資が増えると、1000インプレッションあたりのコストやクリックあたりのコストもまた増加する。大手クライアントは、そうした問題も覚悟の上のようだ」。

インスタグラムのストーリーのアーリーアダプターには小規模な広告主が多く、こうした動きによる広告費用の高騰を懸念している。

狙い目はFBストーリー?

そんななか飛行機予約アプリのホッパー(Hopper)をはじめ、安価な代替手段としてFacebookのストーリーを検討する企業が現れている。ホッパーはここ数週間、インスタグラムのストーリーやニュースフィードの広告枠を購入したが、その場合Facebookのストーリーで広告主が購入できる広告枠は限られてくる。同社の広告予算のうち40%がインスタグラムのストーリーに、10%はSnapchat(スナップチャット)に割かれている。ホッパーでユーザー獲得部長を務めるシモン・ルジューン氏は、Facebookのストーリーは小規模だが同社の投じる金額は増えていることを明かし、次のように述べた。

「インスタグラムのストーリーの広告は、ほかと比べて安価でより効果的だった。だが、いまやインプレッションを競い合う広告主が増えたおかげで、価格が高騰しつつある。当社がFacebookのストーリーに注目したのは、相場が安く、広告主が少ないためメディアバイイングとして効率的な部分もあるかもしれないと考えたためだ」。

広告枠と掲載できる数が限られていれば、広告スペースの奪い合いになる。新規広告のCPMが下がるのは当然だ。Facebookによると、インスタグラムのストーリーの1日あたりのアクティブユーザーは4億人、Facebookのストーリーは1億5000万人となっている。これはSnapchatよりも4000万人少ない。

ルジューン氏は「当社がFacebookのストーリーに出している広告はインスタグラムのストーリーの20%程度だ。これは結論を出すには十分な量とはいえないが、両プラットフォームのオーディエンスの違いの把握にはつながっている。インスタグラムのオーディエンスは若く、技術に精通したユーザーが多い一方で、Facebookのほうが年齢層は高い。インスタグラムのストーリーに広告を出していれば、Facebookのストーリーでもキャンペーンを行って違いを確認するのは容易だ」と指摘する。

まだ試験運用の段階

各社のFacebookストーリーへの進出は戦略に基づいておらず、状況がそうさせているともいえる。ルジューン氏もまたFacebook利用者の年齢層は高く、インスタグラムの利用者と同じ受け止め方をしてもらえるか懸念があると明かす。

Facebookのストーリーで競争が少ないことに魅力を見出している広告主はほかにもいる。なかにはあらかじめオーガニックな投稿でテストを行い、実際に広告を購入するか判断している広告主も存在する。

「Facebookのストーリーで、オーガニックについてテストを行っているブランドは確かに存在する。だが現時点ではペイドメディアについてはまだ試験運用の段階で、どの広告主でも利用できるわけではない」と語るのは、アイプロスペクト(iProspect)でソーシャルアカウントディレクターを務めるキャサリン・チャペル氏だ。「Facebookとインスタグラムでは利用者の考え方が異なる。Facebookを採用する企業の数が、インスタグラムに及ぶことはないだろう」と、同氏は予測している。

求められる最適化機能

さらにペイドメディアの観点からすると、Facebookには現時点でインスタグラムのストーリーのようなコンバージョンの最適化機能がないと指摘するのはPMXエージェンシー(PMX Agency)でペイドソーシャルおよびディスプレイ部門のグループディレクターを務めるジェシー・マス氏だ。

これはボリュームに対する最適化を行う機能で、ストーリーの利用者が増えていることを受けて、Facebookも導入を検討している。ほかにも同社は広告のバイヤーに向けて、今後数カ月でスキップ不可の広告をはじめとする広告オプションを増やすことを告知している。

「インスタグラム固有の戦略を持っている広告主も確かに存在しており、Facebookについても同様の取り組みを行いたいと考えるだろう」とマス氏は指摘し、次のように述べた。「彼らにとって重要なのは、広告プレースメントの最適化、そしてオーディエンスごとの優先順位を決めることだ。当社では、若者向けの場合はストーリーの活用をクライアントに強く勧めている。そんななか、ストーリーを見たり強い関心を寄せたりしたオーディエンスにリターゲティングできる機能は大きな強みとなる。だが現時点では、非常に高いコンバージョンやクリックスルー率につながらないだろう。Facebookのストーリーはまだその段階には達していない」。

Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)

 

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