アクセンチュア主導の 監査 に反対する、WPPとオムニコム

DIGIDAY[日本版] / 2019年8月22日 11時50分

コンサルティング会社アクセンチュア(Accenture)のメディアデータ監査に、業界最大級のエージェンシー、WPPとオムニコム(Omnicom)の2社が反発している

両社はアクセンチュアのエージェンシー部門アクセンチュア・インタラクティブ(Accenture Interactive)のメディア監査を受けることなく、潤沢なメディア予算を獲得する戦略を見出したようだ。アクセンチュアは両社と同じクライアント事業へ積極的に売り込みを行っており、両社はこれまでも同社との利益相反について懸念を表明してきた。

現在、アクセンチュアとデロイト(Deloitte)はエージェンシーに対して、競合関係にある。いまや最大級のアカウントをめぐって争っている状態だ。アクセンチュア・インタラクティブは5月にボーダフォン・ジッゴ(VodafoneZiggo)のメディアとクリエイティブアカウントをWPPに奪われたが、その差は僅かだった。さらに同時期にドローガ5(Droga5)を買収してクリエイティブ部門を強化している。

利益相反するコンサル企業

WPPのCEOマーク・リード氏は、今後は利益相反関係にないメディア監査企業と提携していく計画を表明。8月9日に行われた業績発表のなかで、同氏はアクセンチュアにメディアデータを監査させないという「命令」を下したわけではないとしつつも、同社に監査をさせないほうが事業はやりやすいと語った。「細心の注意を払い業務区分について確認を行っている」と、リード氏は語る。「監査は多数の企業が行っており、クライアントの依頼を受けて監査を行う優秀な企業も多い。そのなかで、利益相反関係にない企業に頼むほうが安心できる」。

広告業界の複数の役員によると、WPPは2020年以降にアクセンチュアが行う監査に参加しないという。監査を行えば、WPPのような持株会社は、広告主が自社の価格設定の競争力を確認したり、ほかのエージェンシーの価格と比較したりできるようにアクセンチュアらにメディアデータを渡すことになる。アクセンチュアのエージェンシーにそのデータが渡れば、WPPより低い価格を提示できるようになってしまう。

アクセンチュア以外にも広告業界で監査を行う大手としてイービクイティ(Ebiquity)が知られている。ほかにもメディアセンス(MediaSense)、メディアパス(MediaPath)、PwC(PricewaterhouseCoopers)、KPMG、アビンタス(Abintus)らが監査を行っているが、規模や専門分野の面で異なる。さらにピッチコンサルティング会社もある。こうした企業は専門企業に監査を外注するケースが多い。オムニコムらエージェンシーグループがクライアントレベルでアクセンチュアのような利益相反の監査企業を避けるようになったのも、このように選択肢が多岐にわたるからだ。

見つからない落とし所

オムニコムのCEO、ジョン・レン氏は7月の業績発表で「業績についてどの企業に監査をさせるか、またはどの企業に監査をさせないかについてクライアントとあらかじめ合意を得ることは多い」と語っている。オムニコムは大規模なエージェンシー持株会社であり、同グループ内で予算面で競合するエージェンシーが複数存在する。そんななか個々のエージェンシーのメディア購入金額の監査をどうすべきか、コンサル企業とのあいだで落とし所が見つからないケースも多いと、レン氏は明かしている。さらに同氏はこの問題について公表したマーク・リード氏の決定を支持しつつも、オムニコムはクライアントとのあいだで「長いあいだ」この問題と内々に向き合ってきたと語る。

同社は長年、監査企業との競合問題に取り組んできたが、現在監査企業のエージェンシーに対する脅威はかつてない危機的なレベルにまで高まっている。監査はメディア取引ほどの利益はあげられないものの、メディアに使われた実際の金額を知りたい広告主のあいだで需要が高まっている。監査企業のなかには、エージェンシー選別から広告主の運用モデル全体の監査へと業務内容を変更した企業が多い。自社やエージェンシー、アドテクベンダー、デジタル企業のビジネス構造について把握する業務だ。監査の需要は確かにある。だが、コンサル企業自体の透明性に疑念がつきまとう限り、大きな収益をあげるのは容易ではないだろう。

Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)

 

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