Amazon 広告プラットフォーム、いよいよ成熟度が増す:新パートナーディレクトリの公開

DIGIDAY[日本版] / 2019年9月2日 8時50分

Amazonの広告プラットフォームが成長し続けている。

「Amazon Advertising」は2019年8月中旬、マネージドサービスプロバイダーの新しいディレクトリと、Amazonの広告プラットフォームを利用する米国内のマーケターを支援するツールを公開した。GoogleとFacebookという2大企業がかつて、自社の広告ビジネスの拡大にあわせて優先サービスプロバイダーのディレクトリを公開したように、Amazonも、広告ビジネスを理解するために誰とともに仕事をすればよいかをブランドが理解する手助けをしようとしている。

このディレクトリを作ることで、Amazonは方向性を示すとともに、プラットフォームでの広告パートナーを必要としているであろう小売業者やマーケターのために検索を容易にしている。また同時に、自社の広告ビジネスが成熟期に達し、小売業者やマーケターがそのエコシステムを理解する手助けをより積極的にしたいというシグナルを出しているのだ。

エージェンシーを後押し

広告とコマースがユニークに組み合わさっているこのプラットフォームを理解することは、一種の特殊技能となり専門業者にもなる。そうした専門業者の存在は新しいことではなく、近年、クライアントに対してプラットフォームの知識を売りにするエージェンシーやほかのサービスプロバイダーが多数登場している。だがこうしてディレクトリができたことにより、Amazonは、マーケターにはサービスプロバイダーやツールの一覧表を提供し、ビジネスへの「高レベルなエンゲージメントと効率性」を提供してきたと信じるエージェンシーを後押ししようとしている。

現在のフォームにあるリストは、Amazonのより大きなプロバイダー構成のほんの一部かもしれないが、メディアエージェンシーの情報筋は、時間とともに、特にAmazonの広告ビジネスが成長して、FireTVやTwitch(ツイッチ)、Amazonオーディオ(Amazon Audio)などでの広告に焦点を当てた検索上で構築されるようになるにつれ、このリストが拡大してより多くのプロバイダーを巻きこむようになるだろうと考えている。リストへの掲載をどのようにして決めるのか、掲載には何か資格が必要なのか、掲載されることで何か特典があるのかなど、Amazonにコメントを求めたが回答を得られなかったため明らかではない。

360iの検索ならびに有料ソーシャル部門の国内担当シニアバイスプレジデントを務めるジェイソン・ハートレイ氏は電子メールで、「Amazonは広告機能を急激に拡大しており、Amazonにフォーカスしたベンダーが無数に生まれている」と述べている。「西部開拓時代のような雰囲気も少し漂っているが、これは、Amazonでの存在感を増す用意が整ったブランドに、一定の秩序をもたらすための取り組みだと私は考えている」。

収益獲得のポイント

Amazonがクライアントを支援するためにサービスプロバイダーのディレクトリを作成したのはAmazon Advertisingだけではない。Amazon Web Services(以下、AWS)用のディレクトリもすでに作成している。ワンダーマン・トンプソン・コマース(Wunderman Thompson Commerce)のマーケットプレイスサービス担当エグゼクティブバイスプレジデントであるエリック・ヘラー氏はこう話す。「Amazonの収益獲得のポイントを考えてみてほしい。AWSと(広告)メディアから大きな利益を得ている。Amazonを利用している人々がこうした――複雑な――プログラムの価値を見出すために、それが円滑に動き、より良く機能するようにする義務が全員にある」。

Amazonは、2019年第2四半期の「その他」に分類される売上が30億ドル(約3170億円)だったとレポートしたが、そのほとんどは広告売上である。2018年第2四半期との比較において成長率は鈍化しており、2019年第1四半期の結果が示すとおり、プラットフォームは成熟期に入ってきた。

「(これは)エコシステムの成長と、広告プラットフォームとしてのAmazonの全体的影響のサインであることに間違いない」と、トンブラス(Tombras)のAmazon担当バイスプレジデント兼ディレクターのケビン・パックラー氏は電子メールで述べている。「たとえば、リストに載っている企業の多くは、以前はAmazonのサービスを提供していなかったし、5年前には存在さえしていなかった。有料検索に加え、Fire TVやAmazonオーディオ広告のような新しいプラットフォームを経由してのAmazonのリーチが広がることで、その拡散は続いていくことだろう」。

たとえば、4年ほど前に設立されたAmazonのフルサービスエージェンシーであるチャンネル・ベイカーズ(Channel Bakers)はリストに載っている。

いくつかの構造的障害

Amazon Advertisingのサービス提供が成長すれば、その広告ビジネスもまた成長する。エージェンシーやその他のサービスプロバイダーがAmazonでの広告の専門家である必要性はなくなった。Amazonの広告ビジネスは急速に成長しているが、そこに問題がないわけではない。ハートレイ氏は「ここ数年の進歩はめざましいが、プラットフォームを最大限に活用するためには、超えなければならない構造的障害がまだいくつかある」と、述べている。

Amazonの広告ビジネスにとっての最大の障害のひとつは、ブランドがAmazonを他の広告プラットフォームと同じように扱えないことだ。プロバイダーのエコシステムを作って、ブランドを支援する目的でディレクトリを設けたが、自社の広告支出の管理を簡素化したいと考えているブランドにとってはそれが頭痛の種にもなり得る。社内でひとつのチームが他のプラットフォームを管理し、別のチームがAmazonを管理するなら、両方のチームが行き来することになる。ディレクトリがあれば、マーケターはどのエージェンシーに依頼できるかを両方で調べることができる。さらに、このディレクトリはどこへ行けばいいかをブランドが考える手助けはするものの、どこを使うべきかを指示するものではないので、Amazonは中立のサードパーティのようにも振る舞える。

ウェイブメーカー(Wavemaker)のマネージングパートナーで米国コマース責任者を務めるブルース・キーナン氏は、電子メールに「Amazonは、フルサービスショップとしてエージェンシーに強く依存している広告主のために、溝を埋めようとしている。我々の業界は重要な瞬間を迎え、クライアントがよりハイブリッドなソリューションを求めるようになってきた」と書いている。

データの全体像

ヘラー氏によると、Amazonがクライアントに提供するダッシュボードは改良され、データの全体像がより完全に見えるようになっているが、データのなかにはまだ、サードパーティのベンダーを通じてでなければ手に入らないものもある。

ヘラー氏は次のように語る。「Amazonのエコシステムについてのデータはよくなっている。同時に、大手の持ち株会社などがAmazonへの信頼を増すなかで、我々が目にしているのは、ソフトウェア革命と、この空間でブランドをサポートするデータプロバイダーの登場だ。運用データの報告やサポートを専業にする人たちや、ブランドの健全性や評判のサポートを専業にする人たちがいる。2年前、このデータの入手は非常に困難だった。いまは会社のクレジットカードで月200ドル(約2.1万円)を払えば、大量のデータを手にできる」

Kristina Monllos(原文 / 訳:ガリレオ)

 

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