Flipboard の新メニュー、パブリッシャーの救いとなるか? : Facebookよりも好ましい結果も

DIGIDAY[日本版] / 2020年1月23日 16時50分

Flipboard(フリップボード)が、D2C(Direct to Consumer)ブランドだけでなく、より多くのパブリッシャーをも引きつけるチャンスを掴みつつある。パブリッシャー各社はFacebookやインスタグラム(Instagram)との協働にますます不満を募らせるようになっており、マネタイズソースの多角化に目を向けはじめている。

1年に及ぶパイロットプログラムを終えたFlipboardは1月7日、ペイドコンテンツプログラムを拡大し、正式に展開することを発表した。その目的は、パブリッシャーの記事のプロモーションやオーディエンス基盤の拡大を支援し、カスタマイズされたキャンペーンやプロモーションでアフィリエイトやマーケティング活動をサポートすることだ。ブランデッドコンテンツはアプリまたはプラットフォーム内に配置され、Flipboard読者の閲覧体験を損なわないようにデザインされている。

Flipboardは現在、パブリッシャー各社と共同で既存記事のプロモーションに取り組んでいる。また一部のケースでは、トラフィックやサブスクリプションの促進を目的とするネイティブ広告の開発にも取り組んできた。たとえば、ホリデーシーズンの期間中には、もっとも強いエンゲージメントを生み出すであろう記事のテストと最適化を行うことにより、バッスル・デジタル・グループ(Bustle Digital Group)のギフトガイドへの関心を高めた。また、別のパブリッシャーに対しても、同社はそのパブリッシャーがストリーム配信を行うスポーツイベントに関する記事のプロモーションを行い、視聴者をライブストリーミングに誘導した。

Flipboardのパブリッシャーへのアピールは、いまにはじまったことではない。これまでにも同社は、トラフィックの促進をめざすパブリッシャーの支援に取り組んできた。日本発のサービスである、スマートニュース(SmartNews)などの似たようなアグリゲーターもまた、パブリッシャーとの協働を促進するためのプログラムを独自開発してきた。そのなかには、パブリッシャーに料金を支払うケースさえある。とはいえ、単に自社サイトへのトラフィックの増加を支援する以外の点でパブリッシャーをサポートすることは、Flipboardにとっても未体験といっていい領域だった。

パブリッシャーたちとの協働

Flipboardは昨年夏、パブリッシャー30社を対象にパイロットプログラムを開始した。そしてその後、同社はこのプログラムをパブリッシャーやマーケター、D2Cブランド向けの新サービスとして一般公開した。3年前に創業したホーム/デザイン系パブリッシャーのハンカー(Hunker)は、自社ニュースレターのサブスクリプションを拡大できるか、有料記事を販促できるか、その可能性をFlipboardと共同で探った。

ハンカーのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるジェイソン・レポーア氏は、Flipboardが良質のオーガニックトラフィックを自社サイトにどのぐらい呼び込めるかを確かめたのちに、この新プログラムのテストを行うことにしたと話す。結果、2018~19年にかけての増加率は250%だったという。現状では、ハンカーのトラフィックの半分以上がGoogleをはじめとするプラットフォームの検索によってもたらされている。一方、Flipboardがハンカーのトラフィック全体に占める割合は7%だ。レポーア氏によれば、Flipboardからハンカーに来るオーディエンスの質は、Apple NewsやFacebook、ピンタレスト(Pinterest)から来るオーディエンスよりも高いエンゲージメントを示しているという。

ハンカーは昨年、Flipboardで異なるふたつのテストを行った。レポーア氏によれば、ひとつはハンカーが配信するニュースレターの購読者の増加を試みるもので、結果は「決定的ではなかった」という。その顧客獲得単価は「希望よりもやや高く」、ほかのプラットフォームに比べると、年齢などの属性によるターゲティング機能といったオプションは十分ではなかったと、同氏は述べた。

レポーア氏はFlipboardのチームが親密に協力してくれたことに感謝する一方で、Flipboardにセルフサーブ型の広告モデルがもっとあれば、プロセスの効率と費用対効果はもっと高くなるだろうと話した。ただし、そうしたモデルによってエンゲージメントが犠牲になる懸念も口にした。
 
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ハンカーが昨年、Flipboardに流したプロモーション記事の一例。写真提供:ハンカー

Flipboardの目下の狙い

Flipboardでペイドコンテンツパートナーシップ部門の代表を務めるアンドリュー・ザーク氏によれば、Flipboardの目下の狙いはセルフサービスプラットフォームとの競合だという。同プラットフォームで購入されるメディアの大半は専用のインベントリー(在庫)だが、時間とともによりダイナミックなものに変わっていくだろうと、同氏は述べた。いまのところ価格はプロジェクトによって異なるが、FlipboardはCPMとCPCの各レートを提供している。

ハンカーがFlipboardと現在共同で行なっている有料記事プロモーションは、同社がFacebookですでに行なっているものと類似している。プロモーションをかけたい記事をハンカーがいくつか選び、ターゲティング指標を設定して、これらの記事を特定のオーディエンスにプロモーションするのだ。

「ハンカーがFlipboardで獲得するオーディエンスは、Facebookで獲得するオーディエンスよりも好ましい。サイトで過ごす時間が長く、直帰率も低い」と、レポーア氏は述べる。Flipboardからのペイドビューは、Facebookからのそれと比較すると、2倍の長さだという。「Facebookで同じようなことをする場合よりもコストはかかっているが、全体として好ましいオーディエンスを獲得している」と同氏は話す。Flipboardからハンカーに流れてくる全トラフィックのうち、およそ5~10%が有料だ。

D2Cブランドたちとの協働

Flipboardはまた、メンズスキンケア企業のザ・ウルフ・プロジェクト(The Wolf Project)をはじめとするD2Cブランドとの協働も開始しつつある。創業1年に満たないザ・ウルフ・プロジェクトは、顧客獲得ファネルを多角化する方法を模索していた。

同社のCEOを務めるフランチェスコ・アーソ氏は「過去5年間、D2Cブランドの大半はFacebookやインスタグラムに依存して顧客を獲得していた。彼らのやり方は、功を奏している」と語る。「だが同時に、コストも跳ね上がってきた。より詳しい記事を伝える機会も少なくなってしまった。ザ・ウルフ・プロジェクトは、短い動画や静止画像では伝えられない、より詳しい記事を伝えたかった」。

アーソ氏はFlipboardと共同で、ザ・ウルフ・プロジェクトの既存のブログ投稿(「買い出したら止まらない、25ドルの男性用ハイドレーティングフェイスマスク[The $25 Hydrating Face Mask Our Men Readers Can’t Stop Buying]」など)からブランデッドコンテンツを2~3本制作した。これらのブログ投稿はFlipboardに自然になじむコンテンツで、そのターゲットはイリノイ州を中心とする市場だった。アーソ氏にとって重要だったのは、記事がユーザーの閲覧体験を邪魔しないようにすることだった。プロモーション記事をクリックしたFlipboardの読者は、ザ・ウルフ・プロジェクトの商品ページにリダイレクトされた。

ザ・ウルフ・プロジェクトがFlipboardキャンペーンをローンチしてから、まだ数週間しか経っていないが、自社サイトのトラフィックの20%がFlipboardから来ていることがわかっており、クリックスルー率は「良好」だと、アーソ氏は先日の取材で述べている。トラフィックの大半(65~75%)は依然としてFacebookから来てはいるが、Flipboardも同社にとっての重要なトラフィックソースとしての存在感を高めつつあるという。

「Flipboardにとって新天地」

今回のキャンペーンのコストは、「Facebookやインスタグラムに費やしているコストよりも、大幅に安い」と、アーソ氏は述べる。その一方で、レポーア氏と同じく、やがてはFlipboardにアナリティクス機能やターゲティング機能が追加されることを期待しているとも述べていた。

「Facebookやインスタグラムのようなプラットフォームの強みは、そのアナリティクスにある」とアーソ氏は語る。「それはまさにD2Cマーケターにとっての『聖杯』、つまりデータだ。そこには進歩のチャンスがある」。この初期段階においてでさえ、Flipboardでの結果は良好で、データも欠けていないと、アーソ氏は話す。ただし、広告主に提供するデータに関していえば、Flipboardには、そしてAmazonにも、改善の余地はあるという。

アナリティクスとトラッキング、ターゲティングとリターゲティングなどの諸機能の追加などブランドのニーズは、パブリッシャーのそれとどのように異なっているのかなどについて、Flipboardと話し合いを重ねてきたと、アーソ氏は述べる。

「Flipboardがブランドとの協働の仕方をいま学んでいることも、私は理解している」と、アーソ氏は語る。「かつての彼らの主なパートナーはパブリッシャーだった。ブランドとの協働は、彼らにとっての新天地なのだ」。

Deanna Ting (原文 / 訳:ガリレオ)

 

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