封鎖措置のなか スタッフケア を試みる、広告各社の具体策:仮想ダンスパーティにSlackコンテストなど…

DIGIDAY[日本版] / 2020年3月28日 12時0分

新型コロナウイルスの影響でまったく先の見通しが立たない状況が続くなか、広告会社各社はこの新たな常態に慣れつつある。そして次なる課題として多くの企業が取り組んでいるのが、従業員のメンタルヘルス対策だ。感染が急速に拡大し、ビジネスや生活が混乱に陥っていても、勤め先のサポートがあると思ってもらえるよう対策を講じるところが増えている。

Facebookは社員を支援するため、ひとり当たり1000ドル(約11万円)の特別手当を支給するとインフォメーション(The Information)が報じている。さらには1億ドル(約111億円)規模の中小企業助成プログラムを開始するという。ただ、それだけの資金力がある企業はそれほど多くない。特に広告業界は、新型コロナウイルスの影響が広がり、クライアントが支出を一時停止しはじめる以前から激動の時期にあったので、手元資金に余裕がないのも無理はない。しかし、そこはさすがクリエイティブ業界である。これまでにも多くの広告エージェンシーやベンダーが、従業員の関心を仕事に向けさせ、やる気を維持し、家から出られず参ってしまわないようにするための斬新な方法を編み出してきている。

現在、広告エージェンシーやベンダーはそのほとんどが、ビデオ会議システムやビジネス用ネットワークシステムを導入して、仕事の打ち合わせなどに対応している。そして多くの企業が、本来はオフィスで行われるはずだったハッピアワーやランチ休憩、フィットネスセッション、交流イベントなどにも、そうしたテクノロジーを活用しているという。

「オフィスに出勤しなくなって失われてしまったもののひとつに、コーヒーを取りに行ったり、デスクの横を通ったりしたときに、同僚と言葉を交わすことで生まれる思わぬ発見やアイデアがある。だから、それを再現しようと、さまざまな工夫をこらしているところだ」と、デジタルエージェンシーのNMPiでコマーシャルディテクターを務めるアンドリュー・ターナー氏は話す。

ダンスやヨガで、運動不足を解消

NMPiの親会社であるインキュベータ(Incubeta)は、やる気を高めて元気が出るように、専用のSpotify(スポティファイ)プレイリストを使った午後のダンスパーティを毎日5分間、Googleハングアウト上で開催しているという。

また、ほかのエージェンシーも、自宅で独り働くことを余儀なくされている従業員たちに、座りっぱなしにならないよう呼びかけている。

グローバルに展開するデジタルエージェンシーのヒュージ(Huge)は、ロンドンで木曜に実施していたピラティスのセッションを、Googleハングアウトでの開催に切り替えたという。水曜のランチタイムに開催していた「ヒュージ100クラブ(Huge100 Club)」は、セルフィーや近所の様子を撮影した動画などを、従業員がSlackチャンネルで共有するバーチャルイベントに変更した。

全土での閉鎖が1週間以上続いているイタリアでは、ウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)も、プロフェッショナルによるイベントをGoogleハングアウトで開催している。朝はスマートヨガや筋力強化クラス、夜はマインドフルネスのストリーミングセッションと、充実の内容だ。

ほかにも、ソフトウェアとデータを扱う企業のビデオアンプ(VideoAmp)は、自宅でトレーニングができるよう、ダンベル2つとケトルベルをスタッフに送ったという。

ゲームやデリバリーで、リフレッシュ

英国のデータ・アドテクコンサルタント企業、レッドバド・メディア(Redbud Media)は、マルチプレイヤーオンラインゲームを使って、リモート勤務している従業員の交流を促している。グリニッジ標準時の水曜日午後1時、従業員たちは2Dバトルロワイヤルゲームの『Zombs Royale』をプレイするよう奨励されているのだ。最後まで勝ち残ったプレイヤーには、翌日のゲームを選択する権利が与えられる。

「チームのメンタルヘルスに一番気を使っている」と、レッドバドの共同創業者クロエ・グラッチフィールド氏はいう。「同僚に毎日会わず、独りで仕事をしていても大丈夫な人たちもいるが、人との触れ合いや、1日を適切に過ごすためのスケジュールが必要な人たちもいる」。

働く人たちの気分を上げるものとしては、食事も重要だ。

コンサルティング企業デジタル・デシジョンズ(Digital Decisions)の場合、スタッフの大半は、3月半ばから新たに封鎖がはじまった国のひとつであるオランダを拠点にしている。同社のCEO、ルーベン・シュルアー氏によれば、最近はスーパーマーケットに並ぶ商品が不足していることも多いが、レストランはまだデリバリーを受け付けているという。そこでシュルアー氏は、Zoom(ズーム)とホイール・オブ・ネームズ(Wheel of Names)というオンラインツールを使って「ホイール・オブ・フォーチュン(Wheel of Fortune)」というゲームを行い、勝者は好きな昼食をデリバリーしてもらえるようにしているのだという。

ほかにも、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスにオフィスを構えるラルフ・クリエイティブ(Ralph Creative)が、Slackでコンテストを実施し、勝者には食事がデリバリーされるクーポンをプレゼントしている。

「仕事とは関係のないことでやりとりするチャンスが生まれ、日々明るい気持ちになれる」と、ラルフ・クリエイティブ創業者のクリス・ハッセル氏は述べている。

ホームオフィス整備に資金提供

これからしばらく従業員は自宅で仕事をすることになりそうだという見通しのもと、その環境を物理的に改善しようと取り組む広告会社も出てきている。

動画広告を視聴すれば、慈善団体を選んで寄付ができるというプラットフォームのグッドループ(Good-Loop)は、ホームオフィスを整備するよう、従業員一人につき約50ポンド(約6400円)を支給した。

自身も起業当時は自宅のキッチンで仕事をしていたという、グッドループの共同創業者エイミー・ウィリアムズ氏は、同僚も組織もないなかで仕事をしていた経験について「起きて、2メートル歩いて座ったら、もう職場だというのは奇妙な感覚だ」と語っている。

「ちょっとした小物や道具など、プロとして仕事していることを象徴するような物が、心理的な助けになることもある」と、ウィリアムズ氏はいう。「ノートパソコンを接続するディスプレイでも、デスクに置く鉢植えでもいいだろう。とにかく、何か仕事用のスペースを作ったと思えるようなものがあれば、自宅であっても、ここが仕事場だというイメージが持ちやすくなるはずだ」。

Lara O’Reilly (原文 / 訳:ガリレオ)

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