プライムデー の結果が示す、未曾有の休暇シーズンの幕開け:「今年は慌ただしいイベントだった」

DIGIDAY[日本版] / 2020年10月23日 11時50分

Amazonプライムデー(Prime Day)が終了したいま、リテーラー勢にとって、今年のホリデーシーズンがどのようなものになるのか、様相がある程度見えてきた。

10月15日木曜、Amazonは毎年恒例の2日間にわたるイベント終了後、同期間中におけるサードパーティセラーの売上が35億ドル(約3670億円)を超え、前年比60%増を記録したと報告した。ただし、例年ならば発表するその他の重要事項については、黙して語らなかった。一方、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)といった他リテーラーは、プライムデーのトラフィックを自社ウェブサイトに引き寄せるべく、独自のプロモーションを展開した。それらを統合し、公表された数少ないデータと併せて考えると、大手リテーラー勢が第4四半期を乗り切るべく、懸命の努力をしている姿が見えてくる。以下に――Amazonだけでなく、その他リテーラー勢にとっても――留意すべき最重要点をいくつか挙げる。

注目すべき省略事項

Amazonは今年、プライムデーの成功に関する詳細を迅速に公開したが、そこにはいくつか興味深い「意図的な省略」も見られた。たとえば、例年ならばたいてい、新規プライム会員数や、イベント期間中に買物をしたプライム会員数に言及するのだが、今回はいっさい触れていなかった。

「今年のプレスリリースは、例年のそれに比べてかなり短かった」と、市場調査子会社eMarketer(イーマーケター)のプリンシパルアナリスト、アンドルー・リップスマン氏はいう。イベント開催前、eMarketerはプライムデーの売上が99億1000万ドル(約1兆円)に達すると予想しており、Amazonが提供した最新のデータはそれに近い数字だったという。

Amazonが公開した情報の大半は詳細に欠けていたとはいえ、いくつか重要な点も含まれていたと、リップスマン氏はいう。「今回の高い成長率は、今年はeコマースが極めて大きな成長を遂げるホリデーシーズンになる、という我々の予想の正当性を裏付ける重要な証拠であり、これは注目に値する」。つまり、オンラインショッピング利用者が増えつづけるなか、プライムデーはその急速な拡大を明確に示すさらなる証となったと、氏は指摘する。

比較的緩かった競争

一方、ほかの大手リテーラーは好調なAmazonへの便乗を狙った。たとえば、ウォルマートはビッグセーブ(Big Save)と銘打ったイベントをプライムデーの開催前から始め、終了後も続けた。同様に、ターゲットはプライムデーと同じタイミングで2日間のイベント、ディール・デイズ(Deal Days)を催した。

彼らの意図は明白だ――世界中の人々がAmazonの一大オンラインセールを期待しているなか、Amazonよりも多少値引率を上げれば、自社サイトのトラフィックを増やすことができる、と考えたに違いない。ただその場合、先例に倣ってディスカウントを実施するだけでなく、また別のカスタマーエクスペリエンスの提供にも注力するのが、これまでの通例だった。しかし、リサーチ会社マーケットプレイス・パルス(Marketplace Pulse)のCEOジョーザス・カザイアキナス(Juozas Kaziukėnas)氏は「どのリテーラーのソーシャルプラットフォームを見ても、彼らがセールを本気で押しているようには思えない。史上稀に見るほど怠慢な年と言っていいだろう」と指摘する。

さらには、Amazonでさえ、マルチメディアマーケティングにさほど力を入れていなかったと、カザイアキナス氏はいう。プライムデー期間中、ライヴ動画を前面に押し出して購買意欲を煽るのがAmazonの常套手段だったが、今年はそれほどでもなかった。「つまり、大半のリテーラーにとって、今年は慌ただしいイベントだった、ということだ」。

今年のホリデーシーズンの動向

この1週間で、今年のホリデーセールの動向が見えてきた。米コンサルティング会社ベイン&カンパニー(Bain & Co)が3300人の消費者に行なったアンケート調査によれば、47%がこの先2~3カ月間にオンラインでの購入を考えており、通常の配送か、あるいはピックアップサービスを初めて利用することも検討している。また、46%が実店舗からデジタルショッピングへの移行を考えているという。

プライムデーの早期開催は、Amazonが消費者の動向をあらかじめ把握し、何が効果的かを調査するための方策にほかならない。一方、大半の他リテーラーのプロモーション戦略は、陣地を取られ過ぎないことを第一とするものだった。「彼らは要するに、プライムデーに対して守りを固めていた」と、リップスマン氏は指摘する。彼ら大型小売店の戦略は「何とかして売上を伸ばし、Amazonに顧客を大量に奪われないことだけを考えていた」。

ただし、11月と12月は様相が異なるだろう。たとえば、ウォルマートを筆頭に、大型小売店は強固なクリック&コレクトサービスを確立しており、それで駆け込み客を大いに惹きつけることが考えられる。さらに、大手の強みを活かし、超目玉大特価オンラインセールといった手を打ってくる可能性もある。

「ホリデーシーズンに向けて、他リテーラーも攻勢に転じるはずであり、いくつか興味深い動きが見られることになると思う」と、リップスマン氏は予想する。

[原文:‘A rushed event’ How Prime Day set the stage for an unprecedented holiday season]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:SI Japan、編集:長田真)

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