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病原細菌であるレジオネラが宿主細胞の小胞体に定着する仕組みを解明~レジオネラの小胞体定着化に働く宿主・病原体双方の因子を発見

Digital PR Platform / 2024年12月18日 14時5分

【今後の展望】
 現在、レジオネラを含む多くの病原菌感染症の治療は抗生物質の処方が主流となっています。しかしながら、多くの抗生物質に耐性を示す病原菌の蔓延が懸念されている現状において、抗生物質に頼らない病原菌感染症の治療法の確立が世界規模で急務となっています。それゆえ、細胞内に侵入した病原菌の振る舞いを理解することは、その振る舞いを制御することによる増殖抑制といった病原菌感染症に対する新たな治療法となる可能性が秘められています。今回の研究では、レジオネラの宿主小胞体定着化の分子メカニズムを明らかにしましたが、この定着化を阻害できる薬剤によるレジオネラの細胞内増殖への効果やレジオネラ感染症への治療薬となりうるかなどを検証したいと考えています。

【用語解説】
レジオネラ:1976年、米国フィラデルフィア州で開催された在郷軍人会に参加していた複数の人々が肺炎を発症し、患者より新規の病原細菌が単離された。その後、在郷軍人(legionnaire)にちなみ、Legionella pneumophila(レジオネラ・ニューモフィラ)と命名された。自然界において、レジオネラはアメーバなどの原生生物を宿主としているが、レジオネラを含むアメーバなどによって形成されたバイオフィル(例:排水溝のヌメリ)が存在する取水管やタンク内の水はレジオネラによって汚染される。そして、それら水源から発生するエアロゾルの吸入がヒトへの感染の引き金となる。このように、「水」がキーワードとなる場所でレジオネラが繁殖しやすいことから、日本においては『温泉』や『公衆浴場』などでレジオネラによる集団感染が発生しやすい。

レジオネラエフェクター:細胞内に侵入したレジオネラが、分泌装置(注射器のようなもの)を介して宿主細胞内に放出する病原因子。これまでの研究により、レジオネラは300種類以上のレジオネラエフェクターを放出していると推測されている。レジオネラエフェクターの一つ一つに宿主細胞の機能をコントロールする役割があると考えられているが、多くのレジオネラエフェクターが機能未知となっている。

小胞体:細胞内で最も大きい細胞小器官であり、脂質合成やカルシウムイオンの貯蔵に関わる滑面小胞体とタンパク質合成の場であるリボソームが付着した粗面小胞体の二つの区画に大別される。最近の研究によって、小胞体はその他の細胞小器官と物理的に接触し、その接触場が重要な生理機能の足場となっていることが分かりつつある。

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