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肺由来のエクソソーム等の細胞からの分泌物に高い抗炎症作用を発見

Digital PR Platform / 2024年5月7日 14時30分

3. 今後の展開
ALI/ARDSに対する治療法として従来から用いられてきた全身ステロイド投与の有効性はしばしば限定的であり、副腎皮質ステロイドの副作用は、患者の予後にも影響を与える可能性があり、異なる免疫制御機構を持つ治療薬が必要とされています。本研究ではHBEC-EVsがALIの治療薬として有望であると示唆されました。HBEC-EVsは、細胞から分泌される天然成分であり、in vitroにおいては一般的に用いられる用量のデキサメサゾン(副腎皮質ステロイド)と同程度の炎症抑制作用を認め、in vivoにおいてはALIマウスモデルで、優れた治療効果を認める安全性の高い治療薬候補と考えられました。今後、細菌感染や新型コロナウイルス感染など様々な要因に伴うALI/ARDSを標的として本シーズの社会実装を目指し、さらなる開発を推し進めて行きます。

4. 脚注、用語説明
注1.マイクロRNA: 遺伝子ゲノム上にコードされ、20から25塩基長で構成される微小RNA。機能性核酸であり、他の遺伝子の発現調節を行うことで、生体内のさまざまな現象に重要な役割を担っています。
注2.参考文献:Kadota T, Fujita Y, Araya J, Watanabe N, Fujimoto S, Kawamoto H, Minagawa S, Hara H, Ohtsuka T, Yamamoto Y, Kuwano K, Ochiya T. Human Bronchial Epithelial Cell-derived Extracellular Vesicle Therapy for Pulmonary Fibrosis via Inhibition of TGF-β-WNT crosstalk. J Extracell Vesicles 2021 Aug; 10(10):e12124.
注3.Toll-like receptor(TLR)シグナル: 病原体の侵入を感知し、それに対する適切な免疫反応を調節する重要な役割を持ちます。TLRの活性化により、免疫システムは病原体と戦うための適切な免疫反応を促進し、身体を守るのに役立ちます。
 
5. 論文タイトル,著者
掲載誌名: Communications Biology
論文タイトル: Mitigation of Acute Lung Injury by Human Bronchial Epithelial Cell-derived Extracellular Vesicles via ANXA1-mediated FPR Signaling
著者:Yu Fujita1,2,3+*, Tsukasa Kadota1+, Reika Kaneko2, Yuta Hirano1, Shota Fujimoto1, Naoaki Watanabe1, Ryusuke Kizawa1,2, Takashi Ohtsuka4, Kazuyoshi Kuwano1, Takahiro Ochiya5, Jun Araya1
著者(日本語表記):藤田雄1,2,3+*, 門田宰1, 金子麗華2, 平野悠太1,藤本祥太1, 渡邉直昭1, 木澤隆介1,2, 大塚崇4, 桑野和善1, 落谷孝広5, 荒屋潤1
+共同第一著者, *責任著者
1. 東京慈恵会医科大学 内科学講座呼吸器内科
2. 東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 次世代創薬研究部
3. 東京慈恵会医科大学 エクソソーム医学研究センター
4. 東京慈恵会医科大学外科学講座呼吸器外科
5. 東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門

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