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【東京医科大学】薬剤使用群ごとの疾患発生割合をより正確に推定可能なデータベース研究におけるアウトカム定義の選択基準を提案 ~質の高いデータベース研究実施につながることが期待~

Digital PR Platform / 2024年8月8日 20時5分

【東京医科大学】薬剤使用群ごとの疾患発生割合をより正確に推定可能なデータベース研究におけるアウトカム定義の選択基準を提案 ~質の高いデータベース研究実施につながることが期待~



東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)医療データサイエンス分野 田栗正隆主任教授と修士課程2年 鈴木徳太大学院生らの研究グループは、昨今注目を集めている日常診療に基づくリアルワールドデータを用いたデータベース(database; DB)研究において、疾患発生を特定するためのアウトカム定義を選択する際に用いられる既存基準の性質と問題点を明らかにしました。さらに既存基準が抱える問題を解決し、薬剤使用などの曝露の有無ごとに疾患発生割合(リスク)をより正確に推定可能な基準を提案しました。




【概要】
 東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)医療データサイエンス分野 田栗正隆主任教授と修士課程2年 鈴木徳太大学院生らの研究グループは、昨今注目を集めている日常診療に基づくリアルワールドデータを用いたデータベース(database; DB)研究において、疾患発生を特定するためのアウトカム定義を選択する際に用いられる既存基準の性質と問題点を明らかにしました。さらに既存基準が抱える問題を解決し、薬剤使用などの曝露の有無ごとに疾患発生割合(リスク)をより正確に推定可能な基準を提案しました。
 本研究成果は、米国Lippincott Williams & Wilkins社が発刊する疫学専門誌『Epidemiology』のオンライン版に掲載されました(日本時間2024年8月7日公開)。
 本成果は、これまで明確な根拠に基づいた基準が存在していなかったアウトカム定義の選択に関する新しい方法論を提供しました。これにより、より質の高いデータベース研究の実施につながることが期待されます。

【本研究のポイント】
・アウトカムの誤分類が曝露群間で等しい(非差異的である)場合に、Youden indexは疾患発生割合の差(リスク差)のバイアスを最小化することを明らかにしました
・Youden indexを含む2つの既存基準が疾患発生割合そのもの(絶対リスク)の推定に大きくバイアスをもたらす状況を明らかにしました
・上記の問題を解決し、バイアスの小さい絶対リスクの推定を可能にする基準を提案しました

【研究の背景】
 医療情報DBを用いたDB研究の実施は、情報技術の発展やリアルワールドデータへの関心の高まりに伴い、国内外問わず増加しています。一般にDB研究は大規模であり、時間的・金銭的な効率性や研究の一般化可能性の観点等、多くの利点があることが指摘されています。しかしながら、研究目的に取集したデータでないことから、疾患発生の有無などのアウトカムに関する変数情報が不正確になりやすいという問題があります。
 DB研究では、研究対象集団・曝露・アウトカム・交絡因子をDBに記録されている情報を用いて定義することが一般的であり、特にアウトカム定義による疾患有無の判定がどの程度真の状態を捉えているかは非常に重要です。日米の医薬品規制当局は、複数のアウトカム定義を感度や特異度、陽性的中率といった指標を用いて評価し、それらの指標が大きく最も適切であると考えられる定義を選択することを推奨していますが、具体的な選択基準については言及していません。
 そこで本研究では、感度と特異度を用いたアウトカム定義の選択に注目し、DB研究の最大の目的の1つである曝露とアウトカムの関係性に関わる指標のバイアスの大きさの観点から既存基準を再評価し、その問題点を解決する新たな基準を提案することを目的としました。

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