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セキュリティ・プライバシー分野におけるユーザ調査研究の地理的偏りを定量的に分析

Digital PR Platform / 2024年9月3日 14時11分

2.研究の概要
 体系的文献調査手法(注2)に基づいて、人を中心とするセキュリティ・プライバシー研究論文を対象にその内容を網羅的に調査および分析しました。サイバーセキュリティおよびヒューマンコンピュータインタラクションに関する著名国際会議(注3)において過去5年間(2017年から2021年)に発表された論文7,587本から、人を中心とするセキュリティ・プライバシーに関するユーザ調査を実施した論文715本を特定しました。この715本の論文に対して、参加者の居住国・属性・募集方法・研究手法・研究トピックに関して、複数の分析者による評価者間信頼性(注4)を保証した方法で分析しました。

3.研究の成果
 本調査では、人を中心とするセキュリティ・プライバシー分野において、5年間(2017-2021)で非西洋の人々が対象になるユーザ調査標本数(注5)が25%から20%に低下しており、偏りが大きくなっていることが明らかになりました。(図2)。
 一方で、HCI分野における同様の調査(※3)では、5年間(2016-2020)に発表された論文のユーザ調査における標本数の総数のうち、非西洋の国の標本数の占める割合は16%から30%に上昇しており、HCI分野においては西洋の人々への偏りが緩和される傾向にあることが知られています。このことから、セキュリティ・プライバシー分野における偏りの方がより顕著な傾向にあることが明らかになりました。


[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2341/94356/650_349_2024090311451866d6783e3f688.png

図2:調査標本全体に占める調査対象となった国・地域の割合の時系列変化


 また、世界人口比率に基づいた各国の調査度合い(Ψs)を調査した結果、アメリカ、イギリス、ドイツなどの西洋(Western)の国々は世界人口比率に対して過多に調査されていることがわかりました。
 一方で、日本を含むアジアおよび中東・アフリカ・南米などの非西洋の大部分の国々では世界人口比率に対して調査が不十分であることがわかりました(図3)。さらに、各国の世界人口比率に基づいた調査度合いの高さと、各国の教育水準(Educated)、工業化(Industrialized)、 裕福(Rich)、 民主主義(Democratic)の度合いには正の相関(positive correlation)があり、かつそれが統計的に有意な関係性があると示すことができたことから、調査がE・I・R・D(教育水準、工業化、裕福、民主主義)の度合いが高い国の人々に偏っていることを明らかにしました。

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