セキュリティ・プライバシー分野におけるユーザ調査研究の地理的偏りを定量的に分析
Digital PR Platform / 2024年9月3日 14時11分
[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2341/94356/650_311_2024090311474266d678ced3306.png
図3:世界人口に占める比率で正規化した各国の調査度合い(Ψs)
このような“WEIRDな人々”への偏りが生じる原因として、論文著者の地理的偏りが挙げられます。分析した論文のうち、西洋諸国の組織に所属する研究者のみで執筆された論文が86.5%を占めていました。研究者は地理的・言語的障壁により研究者自身がアクセスしやすい人々を参加者として募集する傾向にあり、このような便宜的標本抽出法(注6)によって研究者と異なる国の人々が調査されにくいことから、ユーザ調査参加者のWEIRDへの偏りが助長されていることが明らかになりました。
本調査で判明したユーザ調査参加者のWEIRDへの偏りを解消し、多様な人々を理解するためのユーザ調査研究方法として以下を提案しました。
・複製研究(注7)の推進:
非WEIRDな人々に対する複製研究の推進により、研究結果の一般化可能性および地理や文化による人々の差異を明らかにすること。
・地理的・言語的障壁の克服:
(1)ユーザ調査の対象となる人々の国で活用されているローカルのクラウドソーシングサービスを活用すること。
(2)ローカルの言語・文化・環境を熟知した研究者との協業によって研究者のダイバーシティを向上させること。
4.今後の展開
本成果により、セキュリティ・プライバシー分野において多様な国・文化の理解をするための国際協力研究を推進し、多様な人々が恩恵を受けられるセキュリティ・プライバシー技術の創出を促すことで、ダイバーシティ&インクルージョンの向上に貢献していきます。
<論文情報>
※1 Ayako A. Hasegawa, Daisuke Inoue, Mitsuaki Akiyama. “How WEIRD is Usable Privacy and Security Research?” USENIX Security 2024. https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity24/presentation/hasegawa
※2 Henrich, Joseph, Steven J Heine, and Ara Norenzayan. “The WEIRDest people in the world?” Behavioral and Brain Sciences 33, no. 2-3 (2010): 61-83.
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