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高脂肪食による脂肪肝の発生を防ぎうる新たなメカニズムを解明

Digital PR Platform / 2024年9月24日 10時34分

藤田医科大学(愛知県豊明市)内分泌・代謝・糖尿病内科学 鈴木敦詞教授、消化器内科学講座、医科プレ・プロバイオティクス学講座 廣岡芳樹教授らの共同研究チームは、糖尿病研究の最先端技術と腸内細菌研究の解析技術を組み合わせ、プログルカゴン由来ペプチド(PGDPs)が脂質代謝において重要な役割を果たしていることを解明しました。また、PGDPsの欠如マウスの腸内細菌ではパラバクテロイデスの増加やラクトバチルスの減少など肥満抵抗性に関与する腸内環境の変化を認めました。この発見は、高脂肪食(HFD)が引き起こす脂肪肝などの代謝異常の予防や治療に新たな道を開く可能性があります。
本研究成果は、国際誌「Nutrients」の2024年7月14日(オンライン版)に公開されました。
URL:https://www.mdpi.com/2072-6643/16/14/2270


<研究成果のポイント>

プログルカゴン由来ペプチド(PGDPs)が欠損しているマウスでは、高脂肪食を与えると肝臓における脂肪酸の酸化を促す遺伝子の発現が低下していましたが、それにもかかわらず、肝臓や脂肪組織への脂質蓄積が少なく、脂肪肝の発生が抑制されることがわかりました
この現象の要因として、PGDPs欠損マウスでは小腸での脂質吸収が低下していることが示され、糞中のコレステロール量が増加していることも確認されました
特定のプレバイオティクス注1)による新たな食事指導方法の開発が期待されます


<背 景>
プログルカゴン由来ペプチド(PGDPs)は、グルカゴン、GLP-1、GLP-2などのホルモンを含み、肝臓、脂肪組織、腸管における脂質代謝を調節する重要な役割を果たします。これまで、PGDPsがエネルギーバランスや脂肪分解に関与していることが分かっていましたが、特に高脂肪食摂取によって引き起こされる脂質代謝の変化において、PGDPsがどのように作用するかは十分に解明されていませんでした。肥満や脂肪肝は現代の食生活に関連する大きな健康問題であり、その発生メカニズムを理解することは、予防や治療の新たな手段を見つける上で重要です。


<研究方法>
本研究では、PGDPsが欠損したマウス(GCGKOマウス)を用いて、高脂肪食による脂質代謝の変化を調査しました。
プログルカゴン由来ペプチド(PGDPs)が欠損したマウス(GCGKOマウス)と対照マウスに、高脂肪食(HFD)を7日間負荷して脂質代謝の変化を検討しました。実験開始後、マウスに高脂肪食を与え、7日後に肝臓、白色脂肪組織、十二指腸からサンプルを採取し、脂質代謝に関する詳細な分析を行いました。
肝臓では、脂肪のβ酸化に関連する遺伝子の発現をリアルタイムPCR(qPCR)を用いて測定しました。また、肝臓に蓄積されている遊離脂肪酸(FFA)や中性脂肪の量を調べ、どれほどの脂質が蓄積されているかを評価しました。十二指腸においては、脂質吸収に関連する遺伝子の発現を分析し、糞中のコレステロール量を測定することで、腸管での脂質吸収がどの程度行われているかを調査しました。さらに、白色脂肪組織におけるホルモン感受性リパーゼ(HSL)のリン酸化レベルを測定し、脂肪分解の活性化状態を確認しました。
これらの手法により、PGDPs欠損マウスと対照マウスの脂質代謝における違いを詳細に調べ、特に肝臓と腸における脂肪酸酸化や脂質吸収の変化を明らかにしました。

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