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透析患者の生命予後や心血管イベントと尿酸生成抑制薬(XOR阻害薬)による治療との関連性における、尿酸排泄トランスポーター機能保持の重要性

Digital PR Platform / 2024年9月25日 14時0分

今後の展開
 フェブキソスタットは抗癌剤と併用して抗癌剤の排泄を抑えて治療効果を高めるために併用されるほど、ABCG2の抑制効果が高いです。このため尿毒症性物質の排泄経路が腸管か透析に限られている透析患者で、フェブキソスタットが腸管のABCG2を強くブロックし尿毒症性物質の蓄積によって臓器保護効果は無かったものと思われます。これは腎機能の保持されている高尿酸血症や痛風患者から慢性腎臓病患者まで同様の抑制効果が疑われます。特に日本人に多い機能低下型のABCG2遺伝子多型の患者さんについて、将来のリスクを自覚し、ABCG2を阻害しない尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬の併用を推進していくべきだと考えられます。また、健康診断で高尿酸血症を指摘された場合、ABCG2の遺伝子多型の検査をして病型分類をし、痛風発作の抑制だけではなく将来の心血管イベントや腎不全への進展を予防していくべきであると考えられます。さらに、ABCG2を抑制せず慢性腎臓病でも使用制限のない尿酸生成抑制薬の開発も待たれます。

論文情報
タイトル: Allopurinol, Febuxostat, and Nonuse of Xanthine Oxidoreductase Inhibitor Treatment in Patients Receiving Hemodialysis: A Longitudinal Analysis
著者:Takeo Ishii, Nodoka Seya, Masataka Taguri, Hiromichi Wakui, Ashio Yoshimura, Kouichi Tamura
掲載雑誌: Kidney Medicine
DOI:https://doi.org/10.1016/j.xkme.2024.100896



[画像7]https://digitalpr.jp/simg/1706/95496/450_70_2024092416162966f2674d5a1e5.png







用語説明
*1 XOR阻害薬:キサンチンオキシドレダクターゼというプリン体を分解して尿酸にする補酵素。これを阻害すると尿酸の生成は減少する。殺菌能力と炎症による酸化ストレス発生の両面を併せ持つ。
*2 アロプリノール (ALLO)、フェブキソスタット (FEB):XOR阻害薬。アロプリノールは慢性腎臓病で蓄積しやすいが、フェブキソスタットは強く尿酸の生成は抑制するが、物質の排泄もブロックする。
*3 周辺構造モデル:治療効果の推定を目的として、治療とアウトカムの関係のモデル化したもの。一般にそのパラメータ推定としては、時間依存性交絡を調整可能な逆確率重み付け推定法が使用される。
*4 ABCG2(adenosine triphosphate-binding cassette transporter G2):腸管の上皮(食物が通る側)や尿細管上皮(尿が通る側)や乳腺、胆道系などさまざまな臓器に存在して、細胞エネルギー(ATP)依存的に生体異物や薬物の輸送に関与することで、生体の防御システムを構築する膜タンパク質。
*5 遺伝子多型: 遺伝子情報を構成するDNAのアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の塩基配列が、同じ種が属する集団の個体(個人)間で変化していることを指す。日本人ではABCG2の遺伝子多型が多く、比較的容易に採血で検出できる。

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