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“脳を見える化” 複数の精神疾患で共通する異常を明らかに

Digital PR Platform / 2024年10月29日 10時0分

“脳を見える化” 複数の精神疾患で共通する異常を明らかに

AMPA PETを用いた大規模研究

 横浜市立大学大学院医学研究科 生理学の高橋琢哉教授と波多野真依助教らの研究グループは、新規開発されたAMPA受容体*1を標識するPET用トレーサー*2([11C]K-2)を用いて、うつ病、自閉症スペクトラム障害(ASD)、統合失調症、双極性障害の患者149名と健常者70名を対象に大規模なPET撮像を実施し、精神疾患患者の脳内における神経伝達に重要な役割を果たすAMPA受容体の分布を可視化・定量化しました。
 その結果、疾患ごとに特徴的なAMPA受容体の分布が確認され、一方で、疾患に共通してAMPA受容体に変化が見られる脳領域も特定しました。異なる疾患にも関わらず共通して存在するAMPA受容体異常の発見は新しい知見であり、精神疾患の生物学的メカニズムの理解を深め、新たな診断・治療法の開発に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、「Molecular Psychiatry」に掲載されました(2024年10月15日)。

研究成果のポイント

精神疾患患者149名と健常者70名について、[11C]K-2を用いて、脳内の興奮性神経伝達を担うAMPA受容体を可視化した大規模研究
重症度に伴ってAMPA受容体の量が変化する脳領域を4つの疾患それぞれで解明
うつ病以外の3つの精神疾患は共通した脳領域でAMPA受容体量の異常を有することを解明












[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/97816/550_346_20241028131338671f0f7208688.jpg

図1 本研究の概略図


研究背景






 うつ病、自閉症スペクトラム障害(ASD)、統合失調症、双極性障害などの精神疾患は生活の質の低下を伴い、大きな社会的損失を招きます。精神疾患の原因は、動物実験を用いた基礎研究から一部が明らかになってきました。しかし、実際の精神疾患患者における知見は、技術的な制約により限られており、精神疾患の病態を明解に表現する客観的指標の開発が期待されています。
 精神疾患は「シナプス*3病」と表現されるように、シナプスの機能不全が精神疾患の原因となっている可能性が示されています。AMPA受容体は神経の細胞と細胞の間をつなぐ「シナプス」に存在しており、脳内の主要な情報伝達を担い、記憶や学習に深く関与することが知られています。本研究グループでは、生きたヒトの脳における細胞表面のAMPA受容体を可視化・定量化する世界初の新規放射性トレーサー化合物:[11C]K-2を開発しました(Miyazaki et al., 2020, Arisawa et al., 2021.)。本研究では、[11C]K-2を用いて、精神疾患(うつ病、ASD、統合失調症、双極性障害)のPET撮像を行い、脳内のAMPA受容体分布の可視化を目指しました。

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