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“脳を見える化” 複数の精神疾患で共通する異常を明らかに

Digital PR Platform / 2024年10月29日 10時0分

研究内容
 本研究は、うつ病、ASD、統合失調症、双極性障害の患者149名において、AMPA受容体を標識するPETトレーサー([11C]K-2)を用いた撮像を行いました。疾患ごとに精神症状の重症度スコアとAMPA受容体密度との相関解析や、健常者画像との比較解析を行うことで、精神疾患の生物学的メカニズムの解明を目的としました。
 相関解析では、うつ病において、うつ症状の重症度スコアとAMPA受容体密度間には有意な負の相関が前頭葉を中心とした領域に認められました(図1、重症度と相関する脳領域:うつ病)。双極性障害においては、興味深いことに、うつ症状とAMPA受容体密度間には前頭葉で負の相関、小脳で正の相関が見られました[図1、重症度と相関する脳領域:双極性障害(うつ状態)]。一方で、躁症状とAMPA受容体密度間には、前頭葉で正の相関、小脳で負の相関が見られており、うつ症状と躁症状は相補的な関係にあることが明らかになりました[図1、重症度と相関する脳領域:双極性障害(躁状態)]。また、うつ病と双極性障害のうつ症状を規定する脳領域がほとんど重複しないことから、これらの疾患は同じうつ症状でも生物学的には異なった症状であることが示唆されました(図2)。
 統合失調症においては、陽性症状および陰性症状とAMPA受容体密度間には負の相関が前部帯状回膝前部・膝下部に認められました(図1、重症度と相関する脳領域:統合失調症)。ASDにおいては、自閉症症状とAMPA受容体密度間に正の相関が眼窩回領域を中心に認められました(図1、重症度と相関する脳領域:ASD)。これらのことから、各疾患の重症度に伴って、AMPA受容体密度が変化する脳領域を同定することに成功しました。




[画像2]https://digitalpr.jp/simg/1706/97816/550_205_20241028131807671f107f29fc0.jpg


図2 うつ病と双極性障害におけるうつ症状とAMPA受容体密度の負の相関領域
(青:うつ病における相関領域、緑:双極性障害における相関領域、赤:二疾患の共通領域)




 健常者との比較解析では、ASD、統合失調症、双極性障害において、AMPA受容体密度が有意に変化している脳領域が認められました(図1、健常者と比較して変化している領域)。一方、うつ病患者では変化が認めらなかったことから、他の3疾患と比べて健常者と連続性がある可能性が示唆されました。また、興味深いことに、上記3疾患では、共通した変化が見られており、前部帯状回や島皮質ではAMPA受容体密度の低下、後頭葉ではAMPA受容体密度の増加が認められました(図3)。これらの共通した変化は、上記症状との相関領域とはほとんど重複しておらず、精神疾患の基質を形成している可能性があります。

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