佐藤江梨子、子育て通してギラギラしたサトエリから大らかな“ママエリ”に「人に対して優しくなった」

dmenu映画 / 2017年10月3日 7時0分

「派手にハングリー精神をもってギラギラしていた昔と違って、精神的にも落ち着いた気がする。今は『どうぞどうぞ、私を踏台にしてください』という心境です」。“サトエリ”から、大らかな“ママエリ”に。一児の母親になった女優の佐藤江梨子は、心身ともに変化を感じている。今から5年ほど前、舞台演出家の故・蜷川幸雄さんから「きみは子どもを産んだ方がよくなるよ」と言われた。当時ピンとこなかった言葉が、母親になって2年目の現在、実感を持ってわかるようになった。

大らかな気持ちを持てるように

2015年8月に第一子となる男児を出産し、現在は仕事と育児の両立に奮闘中。「息子は年中くっついてきて、私の方が汗疹だらけになるくらい。でもすごく幸せを感じて、人間というのはお互い抱きしめあっていなければダメなんだなぁと思ったり。まだお母さん2年目だけれど、平和な気持ちを味わっている」と目を細める。

愛息子を育て導いているつもりが、実は自分が一番学ばされていたりする。「子どもを産む前とは体調も違うし、できないことも増えた。それまでは自分も頑張るんだから周りも同じように頑張ってほしいという気持ちが強かったけれど、今はできなくても仕方がないんだと大らかな気持ちを持てるようになった。電車で席を譲ってもらったり、知らない方がベビーカーを運ぶのを手伝ってくれたり、周りから優しくしてもらうことも増えて、自分自身も人に対して優しくなった気がする」。

人間関係の距離感も親密さが増して、苦手なタイプでも母親目線で円滑に。「苦手な人にマイナスイメージを持っても仕方がないし、その人にも親がいて、たくさんの人に愛されてきたからこそ健康で今まで生きてこられたんだと捉えられるようになった。母性というか、ファミリー感というか、すべての人が愛おしく思える。旅館に泊まって女将から社長を紹介されたりするときも社交辞令の挨拶じゃなくて、『まあ社長!お若い!何代目なの!?』と絵に描いたようにおばちゃん化しています」と人当りがより一層アップ。

リアルに狼を演じすぎて声ガラガラ

生活サイクルも子ども中心になり、家も“寝る場所”から“自分の帰るべき場所”になった。「仕事中心だったころは、仕事が始まる2時間前に起きるという不規則な生活で、夜にきちんと眠れないということも多かった。それが息子と同じ時間に寝起きするという規則正しく健康な日々に変わり、それによってお肌が子どもみたいになった」一石二鳥だと笑う。

育休中は仕事復帰について「若い人も次から次へと出てくるし、自分の居場所がなくなってそれで忘れられるならば、それはそれで仕方のないこと」と腹をくくったこともあるが、いたるところで女優魂が炸裂。「紙芝居や絵本の読み聞かせはすべて本気モード。『三匹の子豚』は豚それぞれで声色を変えるし、リアルに狼を演じすぎて声がガラガラになることも」と無意識のウォーミングアップでブランクは吹き飛んだ。

おせっかいなおばちゃん道を歩く

出産後初の映画主演作となる『リングサイド・ストーリー』(10月14日)では、恋人で売れないヒモ俳優(瑛太)の可能性を信じて、けなげに尽くすヒロイン・カナコを好演。映画『百円の恋』で数々の賞を総なめにした武正晴監督直々のオファーだった。「武監督の作品ですから、出演したいと思う方は山盛りいるはず。『え?私なんかでいいんですか!?』と聞いたら『佐藤さんを決めてからほかの配役を進める』と言われたので、すごく嬉しかった」と抜擢に喜ぶ。

佐藤が仕事に行くとき、夫や祖母と留守番をするはずの2歳の息子が、自らの靴を持って、ベビーカーに座る準備を始めるという。そんな健気な姿を目にするたびに責任感や気合がみなぎるし「自分が活躍させてもらえる環境があるのは素晴らしいことだと素直に思える」と自分の置かれている状況に対する感謝の念も、これまで以上に湧き出てくる。

ギラギラはもう卒業。子どもの成長に合わせてマイペースに進んでいくつもり。「最近はシリアスな演技が上手な方が多いような気がして、それは自分に欠けている部分でもあるので羨ましいけれど、私は観客の方に『なんだかこの人楽しそうだなぁ』と思われるような女優でありたい。おせっかいなおばちゃん道を着実に歩いていきますよ」。佐藤がママエリとして刻む人生の第2章は始まったばかりだが、にぎやかな歩みになることだけは間違いなさそうだ。

(文・石井隼人)

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