ガス・バン・サント、怪優ホアキン・フェニックスへの演出は「コントロールをしないこと」

映画.com / 2019年5月2日 10時0分

 「その後、ジョナに『あの時って変だったよね』って言ったんです。そうしたら『あれは僕のせいじゃない。ホアキンに合わせていただけだよ』と。ということは、ホアキンが全体を縛るような雰囲気を出していた。そういうことが起こりうるんです。僕はリハーサルなんていらないと思っていて、いきなり最初のシーンから始めるのはOKだと思っている。だから、リハーサルは僕のためだけではなく、他の映画監督がやるからということでやっているだけ。でも、リハーサルで面白いことがおきることがある。その場で即興がいくつも出てきたりだとか、それがよくてそれを撮影したりね。なので、リハーサルは僕にとって、お互いにバランスをとるだけのもの。ホアキンもジョナも、即興が素晴らしい俳優で、妙な空気が流れることもあるけれど、僕がコントロールすることではないと思っているし、僕の演出は、コントロールをしないことによって、コントロールするんだ。子どもがソファから飛び降りて、転がって怪我をするかもしれないけど、あえてコントロールはしない、ということ。コントロールしようする意識が働くと、何かおかしなことになる。それもある意味コントロールではあるんだけど、どこまでいけるか見てみようと思っているんです」

--役者をコントロールせず、即興や偶然出てきたものから良いテイクを拾うというやり方で、様々な可能性を引き出すのですね。

 「ええ、俳優だけでなくいろんな部門でやるんです。撮影、衣装、照明、皆自由にやらせて、ぼくはボーっと見ているんです。そして、そこで出た予想外のアイディアがいちばんよかったりする。楽焼みたいな偶然性というのかな。そういう偶然性のアクシデントを楽しむことをね。ノンシャランが好きだけど、一方で混乱も生みます。フォルムを欲しがる役者もいますから。ロビン・ウィリアムズは、常にジョークを言って、みんなを笑わせていました。照明をセッティング中にもスタンダップ・コメディのようにロビン・ウィリアムズ的なユーモアでみんなを大きな笑いに包む。ある日、デビッド・クローネンバーグとランチをしていたら、デビッドがロビンのいるセットに遊びにきたんです。デビッドは、ロビンのことやクルーも知っていて、混沌とした状態。デビッドが「何かここ大きくないか?」とセットの一部を指摘したら、ロビンがそこで、「もうひとり監督がきたぞ!」と和ませた。デビッドは混沌を許さないタイプ。僕は好きでないけれど、こうしろとは言わない。ロビンがジョークを言ったら言わせてあげたい。もしかしたら、それは役者を甘やかしているのかもしれないけど」

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