ジブリの企業CMは「好きなようにつくる」のが信条 鈴木敏夫が明かすショートアニメ制作の内幕

映画.com / 2019年7月17日 18時0分

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ハウス食品「おうちで食べよう。」シリーズCM (C) 2015 Studio Ghibli

 [映画.com ニュース] スタジオジブリが制作した企業CMや短編を収めた作品集「ジブリがいっぱいSPECIALショートショート 1992-2016」(7月17日発売)。長編制作のかたわら、四半世紀にわたってつくられてきた32にもおよぶ収録作からは、宮崎駿、近藤喜文、百瀬義行らジブリアニメを支え続けてきたクリエイターたちの新たな一面を垣間見ることができる。「天才の思考 高畑勲と宮崎駿」(文春新書)で長編作品のメイキングを総括した鈴木敏夫プロデューサーに、“もうひとつのジブリの歴史”ともいえるショートアニメ制作の舞台裏を振り返ってもらった。

 ジブリが本格的に企業CMをつくりはじめたのは、「千と千尋の神隠し」が公開された2001年から。ジブリの映画に協賛する各社などからCMの依頼があっても断り続けてきたが、いよいよ断りきれなくなったことがCM制作に乗り出した正直なところだったと鈴木プロデューサーは苦笑する。

 「いろいろな人にお世話になると断りにくいじゃないですか。ジブリの企業CMや短編は、そんな“ギブ&テイク”の関係から生まれてきた作品が多いんです。また、最初は新人研修の役にたつかもしれないと思ったんですが、やっぱり短いものは世間の目が厳しいんですよね。そうなると畢竟(ひっきょう)、上手な人に頼まざるをえなくなる。結果として、腕っこきの人ばかりにつくってもらうことになりました」

 ジブリが企業CMを制作する際には、異例の条件があった。それは「好きなようにつくる」こと。コンペや細かい調整が必須と思われるコマーシャル制作にも、ジブリ流のやり方が貫かれていた。

 「ジブリに依頼してくださった方に丁寧に謝りながら話したのは、ジブリは注文に応じてつくる経験がありませんから、まずは好きなようにやらせてくれませんかということでした。で、それが駄目だったらやめましょうと……態度でかいですよね(笑)。でも、そのほうがいいものができるんじゃないかとも思っていたんですよ。基本的に単独の商品のCMはつくらないというルールも設けていて、だからジブリのCMは企業広告が多いんです。そうなると、だいぶやりやすくなるんですよね」

 アニメーターはあらゆる物事を観察してキャラクターに的確な芝居をさせる、実写映画でいう役者やカメラマンのような役どころ。そんなアニメーターたちに、普段できないことをやってもらう実験的な意味合いもあったのだという。

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