亀山千広さん、ジャズ喫茶で事件は起きていますか?

映画.com / 2020年9月16日 12時0分

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 [映画.com ニュース] 日本実写映画興行収入記録を樹立した「踊る大捜査線」シリーズの生みの親として知られ、現在の日本映画界、ドラマ界に多大な影響を与えてきた亀山千広氏が、約7年ぶりに映画業界へ“復帰”を果たした。それが、「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)」だ。BSフジの代表取締役社長として多忙な日々をおくる亀山氏を突き動かしたものが何だったのかに迫る。(取材・文・写真/編集部)

 ジャズ喫茶に今も通っているという人が、日本に一体どれくらいいるだろうか。ジャズバーでもジャズクラブでもなく、ジャズ喫茶にである。1960~70年代に隆盛を迎え、最盛期には全国で500店舗以上が各地に点在したといわれている。コーヒー1杯で何時間も粘りながら、店主こだわりのレコードコレクションを聴くことができる。それも、高価なオーディオ装置で大音量再生という環境に身を置きながら。ただ、頑固おやじの店主が目を光らせ、私語厳禁の店も数多くあった。世界に類がない日本独自の営業形態だが、大卒初任給が1万5000円前後と言われた時代に輸入盤のLP1枚3000円前後もする“高級品”だったレコードを買い漁ることなど容易ではなかった。ましてや現代と違って情報収集手段が極端に少なかった当時、ジャズ喫茶は日本のサブカルチャーシーンを牽引する役回りも担っていたのである。

 タイトルにもある「ジャズ喫茶ベイシー」は、菅原正二氏が岩手県一関市に店を構えて50年目を迎える。同店を特別たらしめんとするのは、菅原氏のオーディオへのこだわりにある。より良い音を再現するため、開店以来使い続けるJBLのオーディオシステムに日々調整を重ねることで、聴く者に演奏者がその場に現れたかのような錯覚を起こさせる。いつしか国内外のジャズファン、オーディオマニアのあいだで“聖地”となり、いまも最高の音を求める人々が同所を訪れている。

 今作のメガホンをとったのは、星野哲也。映画を生業にしている人物ではなく、東京・白金台にあるバー「ガランス」の名物オーナーとして飲食業界では知られた存在だ。そんな星野氏が20年以上にわたって通い続けてきたベイシー、そして菅原氏の姿をきちんと形として残しておきたいと思い立ち、試行錯誤の末、1本のドキュメンタリー映画としてまとめあげた。

 完成した今作は、菅原氏がかけるカウント・ベイシー、マイルス・デイビス、セロニアス・モンクら偉大なジャズメンたちのレコードを、アナログ録音の伝説的名器「ナグラ」で生収録している。さらに、出演する面々も豪華そのもの。エルビン・ジョーンズ、阿部薫の生前の演奏場面を確認することができるほか、ベイシーの虜となった安藤忠雄、小澤征爾、鈴木京香らが、実に気持ち良さそうにその魅力を語っている。

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