【中国映画コラム】ディアオ・イーナンが辿り着いた「鵞鳥湖の夜」 企画の発端は“泥棒たちの全国大会”だった

映画.com / 2020年9月27日 14時0分

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 [映画.com ニュース] 北米と肩を並べるほどの産業規模となった中国映画市場。注目作が公開されるたび、驚天動地の興行収入をたたき出していますが、皆さんはその実態をしっかりと把握しているでしょうか? 中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」のフォロワー数278万人を有する映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんに、同市場の“リアル”を聞いていきます!

 中国映画業界には“第X世代”という呼称が存在します。チェン・カイコー、チャン・イーモウが属する“中国第五世代”、当コラムで言及した“中国第六世代”(第16回)、新鋭ビー・ガンを示した“中国第八世代”(第14回)。しかし、近年では“第X世代”という呼び方が、あまり使用されなくなっています。ジャ・ジャンクー監督でさえ、ベルリン国際映画祭の場で「“中国第七世代”の監督という呼び方は、もういらない」と発言するほど。さて、ここでひとりの監督の言葉を紹介しましょう。

 「同じ教育を受け、同じ環境で育った――このことで“第X世代”と年代別に分けられてきました。ジャ・ジャンクー監督がベルリン国際映画祭で発言したように、現在は情報の多様化が進み、『個』がより重視される社会になった。いまさら“第X世代”と区分する必要はないんです」

 “第X世代”についての持論を述べたのは、ディアオ・イーナン監督。第64回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞と男優賞をダブル受賞した「薄氷の殺人」を通じて、彼の名前を知った方が多いのではないでしょうか。

 中央戯劇学院を卒業後、脚本家としてキャリアをスタートさせたイーナン監督。「スパイシー・ラブスープ」「こころの湯」、中国本土では殿堂入りとなっている名作ドラマ「將愛情進行到底(原題)」(英題:Cherish Our Love Forever)などを手掛ける一方で、役者としても活動。ジャ・ジャンクー作品の撮影監督として知られるユー・リクウァイの監督作「明日天涯(原題)」(英題:All Tomorrow's Parties)に主演しています。

 03年、監督デビュー作となる「制服(原題)」(英題:Uniform)を発表。ジャ・ジャンクーのデビュー作「一瞬の夢」と同じく、ある中国の地方都市に住んでいる青年に焦点を当てることで、中国社会を観察する作品となっています。ちなみに、ジャ・ジャンクーは同作の顧問を担当しているんです。07年の第2作「夜行列車 (原題)」(英題:Night Train)は、中国社会の観察という要素を多少残していますが、より根本的な人間関係の描写に注力し、映像表現でも独自の作家性を確立。第60回カンヌ国際映画祭ある視点部門に選出されました。

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