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【世界の映画館めぐり】韓国・全州 レトロな老舗劇場「チョンジュ・シネマタウン」でイ・ソンギュンさん遺作を鑑賞

映画.com / 2024年8月17日 12時0分

 「映画通り」と名付けられた通りがあり、映画を撮影する人々の銅像や街と映画の歴史を説明する看板が通りの入口付近に設置され、残念ながら1館は休館していましたが、シネコンや中規模劇場が数館まとまっていて、歩いてはしごが可能です。映画関係者や研究者が集うシネマテークのような施設もありました。

 筆者が気になったのは、壁面に「ニュー・シネマ・パラダイス」をはじめ、世界の往年の名作のワンシーンが描かれた古い大きな映画館です。ここ、看板がすべてハングル表記のため、ネットでの地図情報を駆使して「チョンジュ・シネマタウン」という名の劇場であることを確認しました。映画祭開催期間ではない、普通の週末だったからでしょうか、入り口の照明がやや落とされた暗い雰囲気に入場を一瞬ためらいましたが、一歩入ると、レトロな雰囲気の広いロビーに、古い映写機が展示され、映画ファンのための空間が広がっていました。

 シネコンで見かけるような券売機はなく、チケット売り場の女性に尋ねたところ、この日は4作の上映があり、すべて韓国映画で英語字幕はない、とのこと。どれも新作で、チラシを指さし、これはコメディ、これはホラーなど、簡単にジャンルを説明してくれました。筆者が気になったのは、7月12日に封切になったばかりで、カンヌ出品のロゴのついた「탈출」という作品。英題は「Project Silence」のようです。主演俳優に見覚えがあるなあ……と記憶をたどると、「パラサイト 半地下の家族」などに出演、昨年末に亡くなったイ・ソンギュンさんでした。

 日本ではちょうどイさんが出演する「スリープ」(23)が公開中、「Project Silence」についての情報はまだ出ていませんが、2023年製作のこの作品もイさんの遺作の一つのようです。俳優としても活躍するキム・テゴンが監督、昨年のカンヌ映画祭ミッドナイトスクリーニング部門に出品され、日本でも人気の高いチュ・ジフンも出演していました。

 濃霧の日に連鎖追突事故が起き、空港へ繋がる大橋は崩壊の危機。そこで、統制不能となった軍事用実験犬たちが逃げ出し、取り残された人々を襲う……という極限状態を描いたスリリングな物語でした。セリフはなにひとつわかりませんでしたが、災害脱出ものなので話の筋は大体理解でき、とりわけハイレベルなCGの迫力に驚きました。日本での公開を期待したいです。

 古いビルの数フロアそれぞれにスクリーンがある「チョンジュ・シネマタウン」は、1980年代~90年代半を思わせる内装がレトロで、テーマパークにいるような気分に。座席は近年に新調したのか、とてもきれいでクッション性の高い椅子の座り心地がとても良かったです。しかし、この回の観客は私ひとり(その理由は後述します)。大きなスクリーンでの上映だったので、お客がいないさみしさはありましたが、まるで映画会社重役のための特別試写のようなぜいたくな気分で鑑賞できました。チケットは7000ウォン、最新作なのにとても安い!

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