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「雨の中の慾情」片山慎三監督、「1本1本新しい挑戦をしようと意識しています」【第37回東京国際映画祭】

映画.com / 2024年10月27日 17時0分

 片山監督:それは凄くあって、「ジェイコブス・ラダー」(1990)や「エターナル・サンシャイン()2004)のように、主人公の感情が魂みたいに漂っていて幻想を見ている。大事なことはそれだけで、あとは時系列が少々たどれなくても、義男が味わう悪夢を直に体験してもらえたらそれでいいと考えました。

──義男役の成田凌さんは、演じていて時系列が混乱したのでは?

 片山監督:しかも、現場では飛び飛びに撮影していきますからね(笑)。でも実際のところ、成田さんは各シーンをとてもよく理解してうまく演じてくださいました。

──福子役の中村映里子さんも、そこはかとない感じが役にぴったりでした。

 片山監督:中村さんは呑み込みが早く、現場で出す指示にも的確に演じてくださいました。「岬の兄妹」のオーディションに来て頂いてからのご縁で、本人は割りかしあっけらかんとした性格です。演者によってはジメジメしそうな役柄ですが、適度な情感を装ってくださいました。

──伊守役の森田剛さんが堂に入った演技を見せます。

 片山監督:森田さんは無口で、役への向き合い方がストイックですが、現場で僕が何か言う度に笑ってくださり、いい演出をできたと思わせてくれます。おかげで、撮影中は心の安定を保つことができました(笑)。

──本作の映像は、監督の従来の作品に比べて色使いがカラフルですね。

 片山監督:台湾ならではの光を意識して、緑と赤を多く用いました。日本と同じ光じゃないなと。

──東京国際映画祭には海外の来場者も大勢いらっしゃいます。来場される観客にどう作品をご覧になってほしいですか。

 片山監督:先入観なく純粋にフラットに見てほしいですね。戦争や娼館のシーンもありますが、それらは過去の歴史的事実です。それより、主人公の義男が何を感じてどう生きたのかを見つめ、物語の底にある反戦への思いを汲んでいただけたらうれしいです。

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