松岡菜摘「空いた穴はみんなで埋める」 HKT48がツアー初日で見せた強い“意志”

エンタメNEXT / 2019年7月22日 12時49分

21日(日)、福岡サンパレスホテルにてHKT48の九州ツアーが開幕した。2014年に開催した初のライブツアーから5年半ぶりに九州7県を回るツアー、しかも指原莉乃卒業後の初のツアーでもあり、大きな注目が集まっていた。ツアー初日、HKT48はどんな“指原以後”の姿を見せたのか。オリジナルのレポートをお送りする。

HKT48が4年半ぶりの九州ツアーに打って出た。テーマはもちろん「脱・指原莉乃」だ。今年4月に卒業をした指原の存在は、HKT48にとってあまりにも大きかった。残されたメンバーは指原から卒業できるのか? そこが見どころだ。ツアーのサブタイトルは、「HKT48九州7県ツアー~あの支配人からの、卒業。~」。指原なき後、どんなグループに生まれ変わるのかを知るためには、ツアー初日から観ておく必要がある。

指原政権はあまりに長かった。よって、いきなり改革なんてできるわけはない。ファンは焦らないで見たほうがいい。今回のツアーで変革の片鱗が見えれば、それでいい。

特に注目していたのは1期生だ。今年2月、2期生は独自の公演「博多リフレッシュ」を始めている。それもこれも、偉大すぎる前支配人が卒業を発表し、過去にない危機感を覚えた2期生が何かをしなくてはならないとミーティングを重ね、スタートさせた具体的行動が、それだ。では、1期生は何をするのか。2011年にデビューした1期生は、11月で8周年を迎える。グループの危機に誰がどんな役割を担うのか。コンサートを通して、それを見せなければならない。

そんなことを考えていると、飛行機は雨の福岡空港に到着していた。

13時過ぎ、会場の福岡サンパレスに到着。ホールに入ると、ステージには巨大な指原の写真が掲げられていた。卒業コンサートの時のものだ。そればかりか、ステージの上下(かみしも)に花が飾られている。雰囲気はまるで告別式か、お別れの会。指原からの“卒業式”と銘打ってはいるが、かなり大掛かりで意味深な仕掛けだ。何が始まろうというのか。

鐘の音が3回響くと、場内アナウンスが、「あの支配人からの卒業セレモニーを執り行いたいと思います」と告げる。全メンバーが登壇した。どれも沈痛な面持ちだ。松岡菜摘が、指原との思い出を語ると、他のメンバーが最後のセリフだけ復唱する。学校の卒業式の送辞のパロディーだ。本村碧唯、森保まどか、村重杏奈らもこれに続く。ふざけたセリフを、涙をこぼさんばかりに話すので、会場では笑いが起きる。実にHKT48らしい、明るく真面目でふざけた卒業式だ。

松岡菜摘の呼びかけでファンとともに、「私たちは、あの支配人から、卒業します」と叫ぶと、尾崎豊の名曲『卒業』のイントロが流れる。どこかで歌うだろうと予測はできたが、ド頭に持ってきた。会場は尾崎を知っている世代ばかり。松岡菜摘が斉唱を促すと、「あ♪の支配からの、卒業~」と全員が熱唱。この瞬間、メンバーとファンが同時に指原から卒業した。もう未来だけ見ればいい。振り返るのはやめにしよう。そんな活動がツアーを通じて繰り返されるのだろう。

ようやく『overture』が流れ、『桜、みんなで食べた』『ぶっ倒れるまで』『初恋バタフライ』『早送りカレンダー』で畳みかける。前半のハイライトだ。

MCが終わると、ユニットコーナー。卒業を発表している植木南央はセンターで『ハッピーエンド』を踊る。『愛しさのdefence』は、この日随所で目だっていた運上弘菜、松本日向、水上凜巳花の3人で。田中美久は『火山灰』をソロで歌い上げる(以上、昼の部)。チームキャプテンの松岡菜摘と本村は『タブーの色』を妖艶に踊る。豊永阿紀は『涙の表面張力』で自分の世界に浸る(以上、夜の部)。

ユニット後には寸劇が始まった。松岡はな率いる「指レンジャー」と村重率いる極悪軍団の対決だ。ここはやはり村重の独壇場。グループを後押ししようという自覚も著しい彼女の本領が発揮された(昼夜共通)。

メドレーでは、各48グループの楽曲ばかりか、坂道AKBの『誰のことを一番愛してる?』(松岡はなのソロダンスは必見)、日向坂46の『キュン』、乃木坂46の『ジコチューで行こう!』を披露した(昼夜共通)。

昼の部のメインディッシュは、アンコール明けのMCだった。『最高かよ』で煽り倒すと、一転してしんみりムードになると、田中美久がマイクを握った。以下、全文を掲載する。

「今回のツアー初日は……(泣きそうになり、後ろを向く。場内声援)、あの、莉乃ちゃんとか〇〇くださってた(聞き取れず)先輩方がいないとか、不安とかがすごいいっぱいあって、リハからホントにいろいろ考えてすごい不安だったんですけど、今日コンサート初日を迎えた時に、先輩方や同期、後輩たち、HKT48のみんなが一丸となってこうやってやるコンサートはホントにすごく楽しくて。自分はこれから先、HKT48としても辛いこととかいっぱいあると思うんですけど、このHKT48のメンバーがいたら、美久は、なんだろう、HKT48でよかったなっていう……HKT48……(場内声援)。HKT48がホントにホントに大好きだなって改めて実感しました! 本当にありがとうございます!(場内拍手)」

松岡菜摘がこれに続く。

「みんな同じ気持ちだと思うけど、鏡に向かってリハしてた分、こうやってみんなの笑顔を見て、楽しんでくれてるみなさんの顔を見ると、私は『卒業』の時にちょっと泣いちゃったんですけど。『卒業』で泣くかっていう感じなんですけど。でも、握手会とかで、さしこちゃんのファンの方も“莉乃ちゃんを卒業したけど、みんなにまた会いに行くよ”って言ってくれる方がたくさんいたりして。今日がみなさんのおかげで一人ひとりがちょっとした自信につながったんじゃないかなと思って。HKT48にとって今日はすごく大事な日になったんじゃないかなと、みなさんにすごく感謝した一日でした。これから多分みんなも上手にはできないことがたくさんあると思うんですけど、空いた穴をみんなで埋めつつ、穴なんて見えないようにみんなで頑張っていきたいと思うので(涙をこらえながら)、これからも応援よろしくお願いします(メンバー一同礼。場内拍手)」

夜の部には、(事実上の)植木南央の卒業セレモニーが行われた。本編ラストの『誰より手を振ろう』では、メンバーが順に植木を労うような演出がなされた。事前に聞いていなかったと思われる植木は思わず涙。この日でコンサートの出演は最後であることを知っているファンも「なおちゃんコール」で後押しする。村重はボロ泣きだ。

田中美久の言葉にもあったように、手弁当で作り上げたという充実感がメンバーにはあった。どの顔もいい顔をしていた。

夜公演の前、松岡菜摘、本村、田中美久、松岡はなの囲み取材があった。聞いてみたかったのは、1期生がどんな役割を果たしたか。そこを質問すると、やはりリハを中心になって引っ張っていったのは、松岡菜摘と本村だった。村重らが2人のフォローに回った。リハで演出家に怒られ、全メンバーが円になって話し合った際、中心になったのは両キャプテンだった。松岡菜摘はスタッフとメンバーの架け橋となった。本村は積極的に後輩たちへと話しかけ、意思疎通を図った。「みんなの意識が高くなった」(田中美久)という。

卒業前の指原は、「誰かが卒業すれば、誰かが穴を埋めようとするもの」と語っていたが、まさにその通りの展開になっている。ツアーは、新しいグループの形を作っていくにはとてもいい機会だ。

石橋颯のキックの音が客席には聞こえないため、その威力が伝わらず盛り上がりに欠けたなど、改善点はまだある(松村香織のケツバットがなぜ盛り上がるのか、参考にされたい)。だが、ツアーを通して直していけばいい。今のメンバーには現状を少しでも改善しよう、HKT48を終わらせてたまるかという強い意志がある。

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