AKB48黄金世代と呼ばれて…山内鈴蘭、9期生を語る「痛いことを言ってくれたのも、救ってくれたのも同期だった」

エンタメNEXT / 2019年12月6日 6時30分

横山由依、島崎遥香、永尾まりや、大場美奈、島田晴香……その個々のキャラクターの強さは歴代でも随一と言われるAKB48 9期生。その黄金世代の中にあって、当時、一匹狼として周囲とそれほど交わることなく過ごしていたのが今はSKE48に移籍し活動する山内鈴蘭だ。だが、そんな彼女のアイドルとしての生き方を変えたのも同期だった。彼女にとって9期生とは? 『月刊エンタメ』1月号掲載のグラビアカットともに彼女のインタビューをお送りする。
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11月29日、東京・秋葉原のAKB48劇場で「9期生10周年公演」が開催された。これは、AKB48・9期生の活動開始10年を記念して行われたもので、大場美奈、島田晴香、竹内美宥、永尾まりや、山内鈴蘭、横山由依が出演した。

今でも現役のメンバーなのは大場、山内、横山の3人のみ。他のメンバーはすでに卒業をしており、違う道に進んでいる。大場と山内はAKB48を離れ、名古屋が拠点のSKE48に籍を移して活動している。

すべての期生が周年公演を行っているわけではない。9期生は特別な存在だ。入ってきてまもなく地上波のテレビに出演し、人気は上がった。そのぶん反発も受けた。AKB48の歴史上、かなり注目度が高い期生だったことだけは間違いない。

そんな9期生、どんな関係なのだろうか。

山内「今回の10周年公演はみんなのスケジュールがなかなか合わなかったこともあって、前日の朝から夜までのレッスンにしか集まれなかったんです。振り付けとかはDVDを見て覚えてくださいっていう感じで(笑)。9期生ってそれだけみんなが違うことをしているということ。いい意味で個性がバラバラなんです」

10周年公演は懐かしさで包まれた。思い出をセットリストに詰め込むだけではなく、「当時やりたかったこと」も追加したという。

山内「10年続けてきたご褒美ということで、やりたい曲を入れさせていただきました。私がやりたかったのは、『記憶のジレンマ』という曲。同期で一番仲のいい竹内美宥ちゃんとどうしても歌いかったんです。2人とも歌うことが好きだし、サビの歌詞が好きなんですよね。♪会いたい 会えない 私たちはすぐそばにいるのに~っていう。それって9期生のことだなと思って。なかなか会う機会はないけど、心のどこかではつながっているんだということを表現したかったんです。それと、やってみたかったのは『ガラスのI LOVE YOU』。この曲は4人で歌うものなんですけど、かわいいピンクの衣装を着て歌えるから、“推され”のメンバーに割り当てられてきたんです。だから、そうじゃないメンバーはこの曲を歌うことに憧れていた。10周年公演では横山、大場、島田、私の4人で思う存分歌わせていただくことになりました。今では一般人の島田がこの公演を一番楽しみにしていましたね。『なんなら私がセトリ決めようか?』って。『まだ1か月以上先だから、あんたちょっと黙ってて』って、みんなで制しましたけど(笑)」

この秋、大場は舞台「ハケンアニメ!」の稽古と本番に向き合っていた。横山も舞台「仁義なき戦い~彼女(おんな)たちの死闘篇~」に挑んでいた。2人も主役だ。

山内「SNSを見ているとみんなの活躍が目につくから、私も頑張らないとって刺激をもらっています。それに、10年経っても、こうして好きなことをお仕事にできているって素晴らしいことじゃないですか。そんな今に感謝しなければいけません」

ファンには知られていることだが、9期生の関係はちょっと複雑だ。推され/干されもあった。仲がいい/悪いもある。島崎遥香は、「島田のことが苦手だった」とハッキリ公言している。それ以外のメンバーの間にも感情の糸が複雑に絡み合っている。そんな関係は、10年という時間の経過とともにどう変化したのか。

山内「美奈と由依ちゃんはずっと仲がいいんです。私と美奈はSKE48に移ってしばらくしてから仲よくなりました。由依ちゃんと私が仲よくなったのは2年前から(笑)。3人はそんな関係です。というのも、以前の私は一匹狼だったんです。それは、私がゴルフをやっていたからなんですよね。ゴルフって個人競技だから、一人でいることが怖くないんですよ。昔の私は自分のことしか見ていませんでした」

鈴蘭はソロプレイヤーだった。48Gはグループアイドルだから、ファンはグループやチームに貢献するメンバーを好む傾向がある。集団の中にあって、鈴蘭は時に浮いているようにも見えた。だが、年齢を重ねた鈴蘭の心は自然と変化していく。

山内「由依ちゃんは私のこと、ずっと苦手だったと思います。だけど、2年前に9期生の8周年公演を開いた時、久しぶりにゆっくりと話す時間がありました。そこで私は、『SKE48で頑張ってるよ。ゴルフのレギュラー番組を持つ夢だって諦めてないよ。芸能界で花を咲かせるために、もう一度頑張り直すから』と話したんです。すると、由依ちゃんは、『鈴蘭も大人になったね』と喜んでくれました。『ウチらも大人になったよね』なんて話しているうちに和解しました(笑)」

大場と鈴蘭もまたやや複雑だ。ともにSKE48へと移籍した9期生。そんな共通点があるなら、すぐにでも結託しそうなものだが、そうはならなかった。2014年2月の「大組閣」で2人ともSKE48へ完全移籍となったが、それ以前から大場はAKB48とSKE48と兼任しており、名古屋に馴染もうという努力をしていた。実際、大場はメンバーにもファンにも信頼を勝ち得て、中心メンバーへと成長した。一方の鈴蘭は、葛藤の日々を過ごしていた。

山内「移籍して1~2年は誰にも心を開けませんでした。人見知りをするタイプではないけど、一人でも平気なタイプだし、それがまたよくなかったのかな。SKE48の熱さにもついていけなかったので、そうなるとファンの人もついてくれない。握手会はゼロからのスタートでした。劇場公演に立つのも苦しかった。そのくせ自分がやりたいことはやりたい。ゴルフのお仕事があれば、それは優先したい――。葛藤でした。現実が悲しくて、受け入れたくなくて、何度実家に帰ったか、わかりません。私は、SKE48にとって必要のない人でした」

同期はそんな気持ちをお見通しだった。窮地の鈴蘭に救いの手を差し伸べたのは、大場だった。

山内「そんな時、美奈に言われた一言が大きかったんです。『SKE48で立ち位置を作るのは自分自身だよ。このままでいいの? ついておいで』って。正直にいえば、同期に言われたのが悔しかったです。同じスタートラインに立っていたはずなのに、知らないうちに差が開いてしまった。でも、私は個人の仕事があるからいいやとどこかで思っていました。本当は美奈みたいにSKE48のメンバーにも、ファンの方にも受け入れてほしかったはずなのに、うまくいかなかったので現実から逃げていたんです。美奈の一言は図星でした。どこかで誰かにずばっと言ってほしかったのかもしれません。それを言ってくれたのが同期でよかったし、私にとって救いになりました。美奈の舞台、もちろん観に行きました。美奈は『絶対観に来てほしかった!』と喜んでくれました。同期に認めてもらうって大事なことですよね」

鈴蘭は自分を変えようと努力した。グループに馴染もうとしたし、チームに何ができるかを考え、実践もした。自分ができることは後輩の指針になることだ。それが先輩としての役割だ。そう理解した鈴蘭は、公演終了後の反省会で率先して発言するようになり、チームへの熱い気持ちをブログにぶつけるようにもなった。すると、風向きが変わってきた。

山内「私はこれまでたくさんのチャンスを逃してきました。自分がちゃらんぽらんだったんです。いろんな人に迷惑をかけてきました。このままじゃいけない。素敵な10周年を迎えるために今から頑張ろう。そう決意したのが2年前の8周年公演の頃でした。すると、いつからだろう、『SKE48に来てくれてありがとう』ってファンの方に言われるようになったんです。外のお仕事をする時も、前までは自分のことばかり考えていたけど、今ではSKE48を広めるためだという意識に切り替わりました。SKE48という言葉を必要以上に発するようになりました。そんな気持ちが伝わったんでしょうね。『憧れています』と言ってくれるメンバーも増えてきました。心を入れ替えて、イチから頑張れば伝わるんだなと思いました」

同期に言われた一言で、鈴蘭が忘れられないセリフがもうひとつある。今から4年前に放送された『AKB48 旅少女』という番組でのことだ。2週にわたって9期生が旅をする様子がオンエアされたのだが、島崎からの一言が鈴蘭に突き刺さった。

山内「ロケの最後にぱるるがこう言うんです。『AKB48に入ってきたんだから、AKB48に戻ってきなよ』って。いつかは戻ってきて、一緒に卒業しようよ、という意味でした。私と美奈はSKE48に移籍してすぐのことだったので、この言葉にどう返すかによって、運命が変わると思いました。ぱるるは単純に9期は9期で離れたくないという本音を話してくれたんだと思います。その気持ちはありがたかった。でも、私はもう別の人生を歩きはじめていました。目の前のことをがむしゃらに頑張らないといけない。でも、AKB48があったから今の私があることも間違いではない。どう答えようか……。少し考えてから口を開きました。『移籍したからにはSKE48でやり遂げたいんだ。AKB48に悔いはない。私たちは新しい自分を見つけたいんだよ。だから、背中を押して』って。精いっぱいこう答えたけど、とにかくあの時期の私にとってあの一言は重かったですね……」

ソロプレイヤーだった鈴蘭の人生の分岐点には常に同期が立っていた。人と人との交わりの中で人生は進んでいく。そんな当たり前のことに気づくのは少し遅かったかもしれない。だが、鈴蘭は三歩進んで二歩下がりながら大人へと成長している。そして、そんな成長を彼女に関わるすべての人たちが見ていて、評価するようになった。そんな10年間だった。

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