島崎遥香が体現するAKB48グループの本質的魅力

エンタメNEXT / 2014年8月7日 7時0分

 先日、『リング』などを手がけた、ジャパニーズホラーの巨匠・中田秀夫監督の新作映画(タイトル未定)にヒロインとして抜擢された島崎遥香。

 中田監督をして「アンバランスな魅力にあふれている。自分の潜在能力の高さを自覚せず、どこか自信なさげな表情をしたり、その一方でまったく飾ろうとしない率直さを感じた」と言わしめた島崎だが、彼女の一般的なイメージといえば、塩・やる気がない・無愛想……と、いうなればマイナス要素が多く、その「良さ」がわからないという人もいるだろう。

 しかし、300人を数える48グループの一員である島崎にとって、その〝わかりにくさ〟こそが、大きな武器なのではないだろうか。大所帯でいっしょくたにされ、埋もれないためには〝記号化されない〟ことが重要なのだ。

 

 島崎は2009年9月20日、AKB48 9期生オーディションに合格。応募した理由が「募集欄に『緊急!』と書いてあったから」というのはいかにも島崎らしいエピソードだ。

 2か月後には劇場デビュー。ダンスの出来は散々だったものの、お披露目1曲目の『RIVER』ではセンターをつとめた。

 そして翌年の第2回選抜総選挙では、研究生最上位となる28位にランクイン。さらには新たに結成された「チーム4」に正規メンバーとして昇格した。

 昇格組の中でも選抜メンバーとともに活動する機会が多く、順調にステップを上がっていたかに思えた島崎。しかし、ここで暗雲が立ち込める。

 2011年に開催された第3回選抜総選挙では、一気に圏外に転落。

 大幅なランクダウンの真意はどうあれ、研究生人気が過熱していたこの時期、「昇格すると人気が落ちる」というジンクスを象徴する出来事となってしまった。

 同期の台頭、メディアへの露出の減少……挫折ともいえるこの時期、島崎は自分の写真を見て、「(この時期の自分の写真は)すごく悪い顔してるんですよね」と振り返っている。

 しかし、本人の言うところの「落ちぶれた」この時期、ネットなどを中心に、島崎のキャラクターがクローズアップされるようになる。

 ダンスや歌はお世辞にもうまいとは言えない、やる気が感じられない、不器用で無愛想……。いわゆる「ぽんこつ」。現在の島崎のパブリックイメージの完成だ。同じ9期生の山内鈴蘭が「(島崎は)努力をしているんだけど、わかってもらえない」と話しているように、島崎自身は一生懸命にやっている。ただ、とにかく周りには伝わらないのだ。

 しかし、このキャラクターが「ぽんこつ」というフレーズとともに、思わぬ人気を呼ぶ。マイナスだらけが故に、他の誰とも“かぶらない”キャラクター。「ぽんこつ」は受け入れてしまえば、どこまでも愛おしいのだ。

 これ以降の躍進は凄まじく(もちろんキャラの定着がきっかけ、というわけではないのだが……)、26thシングル『真夏のSounds good!』で初選抜入りし、第4回選抜総選挙では23位に返り咲き。9月に行われた選抜じゃんけん大会では優勝を果たし、29thシングル『永遠プレッシャー』でセンターポジションを手にした。透明感のあるルックスは同世代や女性からの人気も高く、ファッション誌などでも引っ張りだこだ。

 今年の選抜総選挙では見事7位にランクインし、もはや名実ともにAKB48の顔となった島崎。もちろん「ぽんこつ」なだけではなく、前述の中田監督のコメントにもあるように、「アンバランスな自覚のなさ」も島崎の魅力のひとつだ。

 本人としては〝素〟である上に、「ぽんこつ」キャラも狙ってやっているわけではない。だから、突然不意打ちのようにギャップを見せつける。モバメでは「震災はまだ終わってない」と熱く持論を展開したり、選挙後には野心を見せたり……。

 実にわかりにくいパーソナルだ。だからこそ、島崎は際立つのではないのだろうか。

 考えるに、AKBの、さらにいえばアイドルのフォーマットとはどんなものだろう。いつも笑顔で愛想よく、元気でハキハキと、やる気と希望に満ち溢れている……。

 おそらくそんなフォーマットの最右翼が、島崎なのだ。

「わかりやすいフォーマットだけが武器ではない」ことの体現——つまり島崎の魅力は、48グループそのものの魅力ともいえるのではないだろうか。


  佐藤 朋樹:都内在住のフリーライター/編集。アイドルのみならず、節操なくなんでも執筆

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