電子契約(1) 新民法の下での電子契約

EnterpriseZine / 2019年7月12日 6時0分

 電子契約は、より迅速で効率的な契約締結と、加えて確実な契約内容の保全管理を実現できる、今後のビジネスの活性化に不可欠なリーガルテックです。その普及は政府も後押ししているところですが、他方で、いまだ「電子契約って当社でも使えるの?」という声も聞こえてきます。電子契約がさらに普及するには何が必要なのか、リーガル・リサーチャ―の青木モリヤが探ります。

■「第二章」

 今年2月にサンフランシスコで開催されたIBM社年次カンファレンス、そこで冒頭示されたのは、テクノロジが「第二章」を迎えているという現状認識だった。これまでの試行錯誤の時期を経て、ユーザが自身のデジタル資産を活用して基幹業務の変革を行う、そんな次世代に移行しているという評価だ。

 この「第二章」のムーブメントは、日本でもたしかに感じられている。コスト削減と効率化にとどまらない、少子高齢にそなえて働き方改革にも対応する、新しいビジネスを見据えたテクノロジやクラウド、そして“AI”の利用が日本企業でも志向されている。

 政府Society 5.0において、情報社会(Society 4.0)から、次の、情報連携で新たな価値創造を目指す社会への移行を謳っているのも、この上位概念にあたるだろう。

 そのような中で、電子契約は、現状44%以上の企業が利用しているとの数字もあって(下表。従業員50人以上の国内企業へのWebアンケート)、これによると、すでにイノベーター(全体の2.5%の革新者層)とアーリーアダプター(13.5%の積極者層)を獲得し、固有の市場を形成していることになる。ただ、同じ資料によれば、その伸び率としては存外に低迷しているのも見て取れる。契約書は全ての企業に関わる文書で、そこでの基幹業務をデジタルで変革する際には、その電子化は必須とも言える。にもかかわらず、中間のアーリーマジョリティー層の取り込みで、足踏が生じているのはなぜなのか。

 「心理的抵抗感」という言葉で説明している論者も多いが、ここではマジョリティーという量の獲得のためには「第二章」を迎えるという質的な転換が必要なのだと仮定して、過渡期にある電子契約の方向性を探る。
電子契約の利用状況
一般財団法人日本情報経済社会推進協会「IT-Report 2017 Spring」24頁図27
「JIPDEC IT-Report 2019 Spring」27頁図28より、青木モリヤが作成

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