「回遊と創発」-イノベーションの2つの鍵

EnterpriseZine / 2013年7月30日 8時0分

図表5.イノベーションダイヤグラム・ブレークスルータイプ3

2013年5月25日、公益財団法人京都高度技術研究所アステム(ASTEM)が主催するビジネス総合力養成講座「京都D-School」のオープニングセミナーが開催され、京都を代表する大企業から中小企業、ベンチャー企業、ベンチャーキャピタルなど様々な顔ぶれが集まった。午前は同志社大学教授・山口栄一氏によるイノベーションの講義、午後は京都D-Schoolが通年で活用するビジネスモデルを紐解くツール「ビジネスモデルキャンバス」のワークショップを翻訳者の小山龍介氏のファシリテーションのもと参加者全員が行った。第1回の今回は、山口教授の講義内容をレポートする。

■イノベーションとは経済的・社会的価値を生み出すあらゆる改革行為のこと

 京都D-Schoolの開講記念講演第1部は、同志社大学教授 山口栄一氏の講義から始まった。

 イノベーションの2つの鍵となる「回遊」と「創発」という概念が、京都D-Schoolの基盤となる。過去のイノベーションの事例を、「イノベーションダイアグラム」という図解法に照らし合わせながら理解を深めていく。

 講義は、まず初めに、イノベーションの定義を明らかにするところから始まった。

 経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによる定義では、「イノベーションとは、経済活動において生産手段、資源、労働力などを、今までとは異なる仕方で「新結合」 すること」だという。



 シュンペーターのイノベーションの定義として次の5つの項目がある。
未知の新商品や新品質の開発
未知の生産方法の開発
新市場の開拓
ものの新しい供給源の獲得
新組織の実現

 日本では、イノベーションを「技術革新」と翻訳したことによって、長年イノベーションの本当の意味を理解できていなかったとの指摘があった。そのうえで、シュンペーターの定義を1つにまとめると「経済価値および社会価値をもたらすあらゆる改革行為であり、“技術革新とは限らない”」となるという。

 上述のシュンペーターのイノベーションの定義は、次の2つに分類できるとした。

技術イノベーション:1.未知の新商品や新品質の開発、2.未知の生産方法の開発
経営イノベーション:3.新市場の開拓、4.ものの新しい供給源の獲得、5.新組織の実現

 さらに技術イノベーションと経営イノベーションに属さない、第3の変革があるとし、それを「感性イノベーション」とした。感性イノベーションとは、ブランドや信頼感、またはクオリティ・オブ・ライフといった広い意味での美を追究する変革であるという。

 技術イノベーション、経営イノベーション、感性イノベーションの3つの軸を三次元的に展開した図が下記となる。

 図のように、3軸で作られた立体に矢印を引くような変革が、現代的なイノベーションであるという。

亀田 真司[著]

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