なぜSAPはSybaseを買収したのか?―Sybase IQがSAPにもたらしたもの

EnterpriseZine / 2013年8月1日 9時0分

SAP Real-Time Data Platformの構成

2010年5月、SAPによるSybaseの買収が正式に発表された。SAPのERPで利用されているデータベースの多くがOracle Databaseで動いており、その関係性から脱却するためにSybaseのリレーショナル・データベースAdaptive Serverを手に入れたかった、というのが目的だと言われた。とはいえ、買収後、SAP ERPのデータベースがOracleからAdaptive Serverに移行したという話は、あまり耳にしない。さらに、この後から一気にSAPが注力するインメモリデータベースの「SAP HANA」。これの登場は、同年12月だ。このときのHANAは、分析、検索用途の高速データベースであり、ERPのOLTPデータを格納するものではなかった。しかしながら、HANAの開発コンセプトを考えれば、当初からいずれはERPのデータベースをHANAに置き換える構想はあったはず。そうなると、なぜSAPはSybaseを欲したのか。

 当時もう1つ言われていたのが、Sybaseのモバイル系ソリューションが欲しかったということ。SybaseにはSQL Anywhereというモバイルに特化した実績あるデータベースがあった。それを中核とし、モバイル環境をエンタープライズで活用するノウハウの蓄積もある。SAPがモバイル市場への対応に注力している現状を見ても、やはり当時欲しかったのはSybaseのモバイルソリューションだったのではと思えてくる。

 ところで、Sybaseのポートフォリオの中で、忘れてはならないのがSybase IQだろう。カラム型の検索、分析用途に特化したデータベース。買収話が出ていたころに市場でSybaseの名前を耳にしたのは、Adaptive Serverよりも圧倒的にこのSybase IQのほうだった。ところが当時は、Sybase IQについての話題はあまり聞こえてこなかった。SAPがすでに手に入れていた、BIツールのBusinessObjetsと組み合わせて活用する話もあったが、それほど積極的にアピールはされなかったのだ。

■カラム型データベースとしての実績は伊達ではない

 Sybase IQは1996年に、早くも世に出ていた製品だ。一般に企業のITシステムの中には、業務システムのOLTPデータと、データウェアハウスなどで利用する蓄積された分析用途のデータがある。OLTP処理には、1行にさまざまな情報が詰まっているローベースのデータが適切な構造だ。

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