「問題定義」はイノベーションへ通ず-その入口は“狭すぎ、広すぎず”

EnterpriseZine / 2013年10月21日 8時0分

図3:ほどよい領域を狙う

前回までの連載では、デザイン思考の第一段階である「知覚」について紹介し、現場調査でどのようにユーザーと関わり、彼らの行動や発言から情報を獲得していく方法について紹介してきた。今回の記事から数回は、第二段階の「問題定義」を取り扱う。まずは全体像を理解するために、問題定義そのものや「着眼点(point of view)」など、キーワードに関する解説を行いたい。

■イノベーションへの道へ通ずる「問題定義」

 現場調査が終わったあとは、集めた情報を整理・分析しながら、何がもっとも重要な課題なのかを突き詰めていく。以前の連載で紹介したd.schoolのプロセスでいえば、第二ステップの「問題定義」にあたる。

 ここでのポイントは「着眼点(POV:Point of View)」を適切に設定することだ。着眼点とは「どのような視点で問題を捉えるか」を簡潔に表したものである。

 たとえば、ユーザーの満足度が低いレストランのリ・デザインを行おうとした際に「1杯800円のコーヒーは高いかもしれない。価格設定に問題がある」と捉えることもできる。もしくは「800円のコーヒーをゆっくり楽しむための店舗づくりができていない。空間設計に問題がある」と考えることもできる。どう捉えるかによって、解決策の方向性は異なったものになっていく。

 未知の問題を明らかにしていくという意味で、これは「問題発見」のプロセスともいえる。新しい問題は、新しい解決策の創造を呼び起こす。それは、新しい市場を生みだすイノベーションへの道へと通ずる。

 非常に可能性に満ちたプロセスだが、その一方でチームには一定のストレスがかかる。なぜなら、問題そのものを探求する段階であるため「何が正しいのか」が誰にもわからないからだ。

 レストランの例で想定された問題は、すべて解決すべきものかもしれないし、すべて無視すべきものかもしれない。何もわからないのだ。そのような状態で「この着眼点が正しい」と確信は持てない。正解など存在しないのだから、「間違っているかも知れないが、まずはこの着眼点を設定しよう」と曖昧な形で合意する必要がある。

 不安定な状態で合意することもそうだが、合意するための「根拠」自体が曖昧な点もストレスになりうる。

柏野 尊徳[著]

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