事業ポートフォリオの最適化-複数のプロジェクトを部分ではなく、全体最適する方法とは? 

EnterpriseZine / 2013年12月4日 8時0分

効率フロンティア・グラフ

 「選択と集中」という考え自体は特に目新しいものではありませんが、適切に「選択と集中」を実行する方法となると、大変難しいものです。なぜ難しいかといえば、全体を一貫した考え方で俯瞰することを求められるからです。前回までは、個別の戦略投資の意思決定について、具体的な考え方と感度分析(トルネードチャート)、リスク分析(モンテカルロシミュレーション)などの分析・シミュレーション手法を説明してきました。今回は、複数の事業(事業ポートフォリオ)に対して、限られた経営資源の最適配分を実現する、事業ポートフォリオの最適化手法をご紹介します。選択と集中を定量的に意思決定するにはどうすればよいのか、スタンフォード流らしい解決法です。

■経営者の視点で考える「事業ポートフォリオの最適化」

 企業にとって、「ヒト・モノ・カネ・時間」という経営資源は限られています。したがって、限られた経営資源を有効活用するためには、全体を俯瞰したうえで、どこに経営資源を配分すればよいか、考える必要があります。今回は、前回までの戦略投資単体での意思決定から一歩踏み出して、経営者の視点で全体最適を図る「事業ポートフォリオの最適化」についてご紹介します。

 前回までは、個別の戦略投資について、ロジックを整理し、仮説を洗い出して、質の高い意思決定を行う手法をご紹介してきました。今回紹介する事業ポートフォリオの最適化は、個別ではなく、全体最適の視点を取り入れて、より良い意思決定を行う手法です。全体最適の視点がなければ、そもそも、企業全体として最も業績を向上させる選択ができず、全員が全力で頑張ったにもかからず、会社全体としてはそれほど業績が向上しないということにもなりかねません。いくつかの戦略投資を実行する際に、全体を俯瞰して、もっと業績を向上させる可能性があるかどうかを検討することが、事業ポートフォリオの最適化です。

 ポートフォリオと聞くと、「金融資産の組み合わせ」を思い浮かべる読者が多いでしょう。事業ポートフォリオと言う場合のポートフォリオとは、プロジェクト・事業およびそれらの戦略の組み合わせを指しています。「安全性や収益性・成長性が異なるプロジェクト・事業などの組み合わせ」という広義の意味で用います。ここでは、戦略投資を含めて、プロジェクトや事業を総称して「事業」と呼ぶことにします。

 これまで事業ポートフォリオの評価・分析は「定性的な評価」が中心で、個々の事業戦略の方向性を分析するために利用されてきました。読者の中にも、「2×2のマトリックス分析」をご覧になったり、利用されたりした方がいらっしゃるのではないしょうか。しかし、近年は「全体最適を目的とした定量評価(経済価値評価)」による事業ポートフォリオ・マネジメント手法が注目され、利用が進んでいます。

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