教育業界の破壊的イノベーションも「辺境」から―ユーザーの価値になる課題解決とは?

EnterpriseZine / 2014年3月7日 8時0分

人間が身につけるべき3つの能力

 「教え方」を一人ひとりの「学び方」とを一致させることができれば、どれだけ教育は良くなるのだろう。このミスマッチを解決すべく『教育×破壊的イノベーション』はアメリカを舞台に想定された2008年に書かれた改革シナリオだ。MOOCs等、IT技術の発展により日本も改革への条件は整いつつある。出版から6年経った今、日本語で改めて読んでみよう。

■世界最大の大学

 今回紹介するのは、『教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する 』(クレイトン・クリステンセン著/翔泳社・刊)です。本書を通じて、教育業界における破壊的イノベーションを考えてみましょう。

 では、以下の問いを考えてみてください。

なぜグーグルは教育関連のRenaissance Learningに4000万ドルも投資するのか?
なぜMITやハーバードの超エリート大学は無料で講義を解放しているのか?
アダルトやエンターテインメント以外の動画コンテンツはビジネスになるのか?
教育改革は何年も叫ばれているのになぜ進まないのか?
詰め込み→ゆとり→脱ゆとりの流れはうまく行くのか?
子供たちの世代によりよい教育を提供していくためにはどうしたらよいのか?

 これらの一見関連のない問いは実はつながっています。それぞれの現象の深層にある構造を捉え、未来に対応するだけでなく、さらにはより良い社会を創造することができるのかを考えていきたいと思います。

 学生が400万人以上いて、誰もが入学し、講義を受けることができる大学。こんな大学がアメリカにあります。(注1)

 しかも、設立されて2年も経っておらず、最新のIT設備が整っているうえに、シリコンバレーを創ったとも言えるスタンフォード大学の授業が受け放題。こんな大学に子供を入学させてみたくはないでしょうか?

 既にお気づきの方もいるかもしれませんが、この大学はインターネットを使って学べるコーセラ(Coursera)というMOOCs (Massive Open Online Courses)、いわばオンライン大学です。コーセラはスタンフォード大学の教授たちが設立した企業で、受講者はスタンフォードに限らず、プリンストンやミシガン大学の授業をMOOCs経由で自由に受けることができます。コーセラ以外にもエデックス(edX)やユーダシティ(Udacity)などを合わせると600万人以上がこうしたMOOCsで教育を受けていることになります。受講生は年率10%で成長しており、2000年の45000人から現在100倍以上もの人がこの新しいムーブメントに参加しています。(注2)

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