企業による「ストレスチェック義務化」はうつ病予備軍を救うか?

EnterpriseZine / 2014年4月14日 14時0分

ストレスチェック制度の概要

 精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新するなどの状況もあり、メンタルヘルス対策の充実、強化を目的とした項目を含む「労働安全衛生法」の一部を改正した法律案が2014年3月に閣議決定された。今後はこれが国会に提出され成立を目指すことになる。この法律改正の動きを受け、従業員50人以上の事業所では従業員のストレスチェックが年1回義務化されるとの報道もあった。

■従業員50人以上の事業所は年に1回のストレスチェックが義務化される

 「法案になるのかガイドラインになるのかはまだ分かりませんが、2014年の夏くらいまでには何らか形になるというのが産業医の間での予測です」

 そう語るのは、ITを活用して産業医の業務をサポートし、企業と産業医の情報をスムースに共有するというクラウドサービスを展開しているiCAREの共同最高経営責任者・代表取締役であり現役の産業医でもある山田洋太氏だ。

 山田氏によれば、法案化されれば報道のように年に1回のストレスチェックが義務化されるだろうと言う。とはいえ山田氏も参加する産業衛生学会では、法案で示されているような内容で義務化されてもあまり意味はないのではとの意見も多いとか。

 というのも、今回の改正で示されているストレスチェックテストがかなり簡易的なものだからだ。現状では以下の9項目の設問に、ほとんどなかった(スコア1)、ときどきあった(スコア2)、しばしばあった(スコア3)、ほとんどいつもだ(スコア4)という4段階でセルフチェックし、各項目の合計点等により評価を行うものとなっている。
1. ひどく疲れた 2. へとへとだ 3. だるい 4. 気がはりつめている 5. 不安だ 6. 落ち着かない 7. ゆううつだ 8. 何をするのも面倒だ 9. 気分が晴れない

 素人が見ても、たったこれだけの設問では、ストレス状況を正確に把握することはできないと感じるだろう。実際に産業医がメンタルヘルスのチェックをする場合、51項目の設問による詳しいテストを行うそうだ。もちろん、そのテストだけで判断されるわけでもない。メンタルヘルスの判断には、本人の「自己申告」だけではなく、医師の「客観的な意見」を反映させることが重要だと山田氏は指摘する。

 また、テストを実施するのが年に1回だけというのも問題だ。仕事なりが忙しい時期に行えば、どうしてもその状況に引っ張られるだろう。スコアが基準値を超えれば、鬱の疑いがあると「自己判断」することにもなる。そうなると実際にはそれほど問題がなくても「擬似的に問題がある人」が増えることに。それに対応する産業医や企業は、かなり非効率な作業を強いられることにもなりかねない。

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