セールスフォース、新経営体制へ―鍵は「パートナー戦略」

EnterpriseZine / 2014年4月21日 12時0分

 先週エンタープライズIT業界の話題をさらったのは、セールスフォース・ドットコムの新たな経営体制の発表だっただろう。長い間日本法人の代表取締役社長を務めていた宇陀栄次氏が取締役相談役に退き、新たに代表取締役会長兼CEOには日本ヒューレット・パッカード前社長の小出伸一氏が、取締役社長兼COOには日本法人でシニア・バイスプレジデントでエンタープライズ営業担当だった川原 均氏が就任する。

■インダストリにフォーカスしパートナー戦略を強化する

 今回の新人事体制については、宇陀氏がリーダーシップをとりそれを米国セールスフォース・ドットコムのCEOであるマーク・ベニオフ氏や社長兼副会長のキース・ブロック氏が後押しして決まったようだ。宇陀氏によれば日本のビジネス成績が悪くて社長を首になったわけではなく、むしろ順調ないまだからころ新たな成長のための体制を構築すべきと判断したとのこと。この新体制で目指すのは、社員数2,000名以上売り上げ10億ドルだ。

 サブスクリプション型のビジネスモデルであるSalesforceであれば、利用者を積み上げていくことで10億ドル、つまりはおよそ1,000億円の売り上げを目指すことは可能だろう。ただし、その際の会社組織が2,000名を越える規模というのは、日本の先細り感のあるIT業界ではなかなか難しいとも思える。そういった懸念もあってか、自社だけの力ではなくパートナー戦略についてはより一層力を入れる。

 日本のIT業界の構造は、欧米とは異なる。日本ではハードウェアベンダーや大手SI会社を中心とし、企業は彼らにITに関わる業務をさまざまな形で「お願い」するビジネスモデルで成り立っている。多くの企業に情報システム部門は存在するが、そこに所属するメンバー自らが積極的に製品選定を行い、選択したIT環境で自らの手でシステムを開発し組み上げることはない。委託しパートナーに作ってもらうのが一般的だ。なのでSIという存在感はこの業界ではかなり大きい。一方米国などには、SIという存在はほとんどない。より上流のITコンサルティングを行う企業はあるが、システムを組み上げるのは自社の情報システム部門のメンバーが中心となる。

 世界の中では特殊な日本のIT業界において、外資のハードウェアやソフトウェアベンダーは、日本におけるそれなりのパートナー制度を構築してきた。販売代理店制度や製品のOEM化、さらには率先したSI企業との提携や開発パートナー契約など。製品技術に関する資格制度なども、ある意味パートナー戦略の1つと捉えることもできる。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
EnterpriseZine

トピックスRSS

ランキング