マルチテナントに未来はあるか

EnterpriseZine / 2014年6月30日 12時0分

 「ユーザーにとってマルチテントのどこにメリットがあるんだ!」―SAP SAPPHIRE NOW 2014の基調講演後のプレス向けセッションで、記者からのSAP HANAのマルチテナント対応について質問された、SAPの共同創業者で会長のハッソ・プラットナー氏。彼は興奮気味にマルチテナントなんて必要ないとまくし立てた。マルチテナントは「ベンダー側の都合」であり、ユーザーにとってはなんらメリットはないというのが以前からのプラットナー氏の主張だ。

■データベースのマルチテナントなんてベンダーの都合に過ぎない

 SAP HANAはデータベースとして進化し、いまや基幹系システムのSAP ERPも動かせるようになった。また、今後サービス化されるSAPの新しい「シンプルERP」のエンジンもHANAだ。このシンプルERPはクラウドでのサービスとなるが、それでもHANAにはマルチテナントは必要ないとプラットナー氏は断言する。

 世の中に「マルチテナント」という言葉を定着させたのは、セールスフォース・ドットコムのCEO マーク・ベニオフ氏だろう。彼は何年間にもわたり、同社のクラウドサービスが「マルチテナントであることこそが大きな特長の1つ」と主張し続けてきた。莫大なリソースを複数のユーザーで共有する。そうすることで安く早くアプリケーションを提供できる。たんなるメリットというよりもクラウドの必要条件の1つが、マルチテナントという印象を市場に植え付けたと言っても過言ではない。

 そのマルチテナントをどのレベルで実現するべきかでベニオフ氏に喧嘩を仕掛けたのが、彼の師匠でもあるオラクルCEO ラリー・エリソン氏だ。アプリケーションレベルでマルチテナントを実現しているSalesforceのクラウドサービスは不完全で伸縮性に乏しいと指摘した。実際Salesforceのサービスにはアプリケーションレベルでマルチテナントを実現しているがために、「ガバナー制限」と呼ばれる厳しい制約がある。これをうまく回避するのが、Salesforceで仕事をするエンジニアのテクニックの1つにもなっている。

 喧嘩を仕掛けたオラクルは、マルチテナントをデータベースのレベルで実現してみせた。それがOracle Database 12cの最大の特長となる「マルチテナント・アーキテクチャ」だ。コンテナデータベースとプラガブルデータベースを使い、1つのデータベースの中に「完全に分離されたデータベース」をいくつも動かせるようにした。

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