サッカー・ワールドカップ優勝の影にSAPあり

EnterpriseZine / 2014年7月28日 0時0分

SAP Match Insightsの画面

 7月14日、ドイツの優勝で幕を閉じたサッカーワールドカップ・ブラジル大会。ワールドカップで寝不足と戦い熱く盛り上がった人たちも、2週間も経ったのでさすがに興奮も一段落、冷静に振り返ることができるだろう。IT的な振り返りとして憶えておきたいのが、24年振りのドイツ優勝には本社を同国に置くエンタープライズIT企業SAPが貢献していたことだ。

■データでチームが強くなる

 2006年に自国開催のワールドカップで3位に甘んじたドイツ。その時点から強いドイツを取り戻すために打ち立てたのが、「ポゼッションサッカーでボール保持率を高める」というチーム戦術だった。代表チームは今回優勝するまでの8年間、この戦術を徹底してきたそうだ。

 このドイツのポゼッションサッカーをマネージメントするのに使われたのが、SAP HANAの上に構築された「SAP Match Insights」という仕組みだ。2006年当初にはHANAはまだ存在しなかったので、HANA化されたのはここ最近のことだろう。

 ドイツでは試合中のボール保持率を高めるために、1人の選手がドリブルなどで長い時間ボールを保持するのではなく、味方同士でパスを繋ぎ続けるという方策をとった。つまりは個人の1回あたりのボール保持時間を最小化し、結果としてチームのボール保持率を上げるという戦略だ。「そのためには、常にパスコースが2つあるように周りの選手があらかじめ動かなければなりません。それを実現するのに選手の動きのデータを細かくとって分析しています」と言うのは、SAPジャパン バイスプレジデント Chief Innovation Officerの馬場 渉氏だ。

 試合を行うスタジアムの上部に取り付けられたトラッキングカメラで、出場している選手を追いかけ続けることでデータは収集される。練習の場合はボールや脛当てにセンサーを入れデータを取得することもある。トラッキングカメラで追いかけると「選手の動きが物理的かつ数学的に明らかになる」そうで、得られるデータは過去のものも含めHANAを使って分析する。

 このトラッキングカメラを使ったデータ収集で、データ量は圧倒的に増えた。かつては1試合あたり2,000件程度だったものがトラッキングカメラでは4,000万件にも及ぶのだ。データの組み合わせパターンとなれば、数兆件にも及ぶ。このビッグデータを活用することで「経験と勘のコーチングではなくファクトによるコーチングができるようになります」と馬場氏。このファクトによる指導、トレーニングの結果、代表チームの個人のボール保持時間平均は2006年時点で2.8秒だったものがいまでは1.1秒に短縮されたそうだ。

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