第六回 要件変更と追加費用

EnterpriseZine / 2014年10月22日 0時0分

 ITの要件は、企画段階から要件定義工程の完了に至るまで、新しい業務はどうあるべきか、その為にシステムに持たせるべき機能はどうかを一生懸命に検討し、予算や期間とのバランスを考えながら決定されていくものです。経営層、ユーザ部門、システム部門それにベンダの人間が多くの時間と労力を費やし、何回も打ち合わせを重ねて、やっとの思いで決定していく訳ですから、その内容は決していい加減なものではないでしょう。

 それでも、要件というものは変わってしまうことがあります。ユーザ部門の意向の変化、技術的な要因、ユーザの社内事情や社会情勢等の理由で当初の要件は変わって行くことが多く、ある程度の規模のITであれば、要件変更は日常茶飯事と言っても良いくらいです。

 仮にそうしたことが一切なくとも、各部門やメンバーの意識共有不足・齟齬、伝達誤りのような、いわばミスによっても要件は変わります。正確な統計は知りませんが、20数年に渡って、この業界に身をおく私の経験の感覚からすると、当初の要件が全く変わることなくITの導入や開発を終えるプロジェクトは、むしろ少数派でしょう。

■ベンダの追加・変更作業をユーザが放置した結果起きた紛争の例

 要件の追加や変更がIT紛争を起こしやすいものであること、それらをうまく管理してプロジェクトを成功させる責任はベンダにあるが、ユーザも真摯に協力しなければならない、ということについては、この連載の第一回、第二回あたりでお話ししました。

 そこでお話しした”ユーザの協力義務”には、追加や変更に係る判断をタイムリーに行うということも含まれます。エンドユーザ部門から、”この画面を変えてほしいんだけど・・・” と要望があり、ベンダに相談したところ、その費用は意外と高く、納期も延ばさないといけないことが分かった。システム導入の責任を持つユーザのシステム部門は、エンドユーザとコスト・納期の板挟みになって、頭を抱える・・・。こんなこと、よくありませんか?私は、こんなユーザを沢山見てきました。

 悩むのは仕方ないとしても、その期間があまり長すぎると問題が起きます。こうしたとき、ベンダはユーザの判断を待たずに作業を継続したがるのです。ベンダは契約上、納期を守ることが債務とされています。また、せっかくアサインしたメンバーの仕事を止めて待機させておくことにも限界があります。ですから、あまり長い間、決定をせずに、ぐずぐずしていると、ベンダは見切りで作業を再開してしまい、あとからベンダの合意していない費用請求をすることがあります。

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