幕末の鬼才絵師・歌川国芳とその系脈の浮世絵を一挙に紹介する『国芳イズム』【NADiffオススメBOOK】
FASHION HEADLINE / 2016年3月10日 20時0分
各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ(NADiff)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)です。
■『国芳イズム―歌川国芳とその系脈 武蔵野の洋画家 悳俊彦コレクション』
本書は、4月10日まで練馬区立美術館にて開催中の「国芳イズム―歌川国芳とその系脈 武蔵野の洋画家 悳俊彦コレクション」の展覧会図録を兼ねて制作され、出展作品の全点を掲載する。悳のコレクションは、国芳の浮世絵のみならずその門人や小林永濯、尾形月耕、山本昇雲など国芳の系統とは違う絵師たちにまで及び、幕末・明治期の浮世絵界、風俗画界にとって国芳という存在がいかに大きなものであったのかを窺い知ることができる。
国芳は武者絵でその名を広く知らしめる一方で、影絵や寄せ絵・嵌め絵、動物や植物、器物を擬人化したものなどのバラエティーに富んだ戯画をはじめ、陰影の付け方に洋風画の表現技法を取り入れた風景画など、常に新たな表現を模索し続けた。流行や社会情勢に敏感であり続け、改革、禁令などの制約の中にあっても新機軸を打ち立ててきた国芳の仕事があってこそ、それを引き継いだ次世代の絵師たちの展開がある。
国芳の絶大な影響力は当時の絵師たちの間だけにとどまらない。実在した侠客らをモデルとし、歌舞伎などに登場する「ならず者」を描いた武者絵や、表情豊かで躍動感溢れる群像表現からは、任侠ものに憧れるヤンキー文化や、アニメーションなどで用いられる「モブシーン」の表現など、現代の日本人にも通じるルーツを感じとることができるだろう。
3月19日からは新たに、Bunkamura ザ・ミュージアムにおいて「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」が開幕。本展では、兄弟弟子でありながら対照的な作風で国芳と共に一世を風靡した歌川国貞の作品と併せて展示することにより、江戸のポップカルチャーであった浮世絵の世界を体感することができる。
【書籍情報】
『国芳イズム―歌川国芳とその系脈 武蔵野の洋画家 悳俊彦コレクション』
著者:練馬区立美術館
監修:悳俊彦
出版社:青幻舎
ソフトカバー/276ページ/B5変型
発刊:2016年2月
価格:税込2,700円
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