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おばあちゃんの手編みの魅力を世界へ。ミッシーファルミのプリミティブでエポックメーキングなものづくり【Fashion in Finland_vol.1】

FASHION HEADLINE / 2017年9月1日 19時0分

おばあちゃんの手編みの魅力を世界へ。ミッシーファルミのプリミティブでエポックメーキングなものづくり

広大で時には過酷な自然と共存する、真面目で温厚でちょっぴりシャイなフィンランドの人々。そんな国民性を物語るかのような心をほっこりさせるニットブランド、ミッシーファルミ(Myssyfarmi)の営みに、街の喧騒から遠く離れた小さな村で出会いました。



ヘルシンキからポイチャに向かう道中、なんとヘラジカに遭遇!フィンランドではそう珍しくない野生動物で、スーパーにはヘラジカの缶詰なども売られています

訪れたのはヘルシンキ中心部から車で2時間ほど離れた、フィンランド南西部にあるポイチャ村。ここにオフィスを構えるミッシーファルミは、Rauhansuu夫妻によるニット兼フードブランド。いずれのプロダクトもこの土地で生産されたオーガニック素材を使用して作られています。


AnnaさんとJanneさん夫妻は4人の子どもの子育て中。送り迎えなどに忙しい時間帯にもかかわらず、快く取材に応じてくれました

以前はプロのウインドサーファーとして、世界中を旅していたという夫のJanneさん。故郷のポイチャ村で彼の祖母が稼業としていた毛糸づくりを再生し、妻のAnnaさんとともにグローバル展開も視野に入れたブランドを設立させました。

「私も夫と同じくこの村で生まれ育ちましたが、大学入学と同時にヘルシンキに移り住みました。卒業後は15年ほど広告業界で働き、長女の出産を機に帰郷。その後、本格的にミッシーファルミを立ち上げました。自宅にオフィスを併設して、近くにブランドで販売する豆粉や調理油の原料となるオーガニックのえんどう豆などを栽培する農場があります。フィンランドのビジネスの拠点はやはりヘルシンキなので、今は月に数回、都市と田舎を行き来する生活をして今すね。2ヶ月半になった娘を連れて行くこともありますよ」


自宅兼オフィスのそばにあるミッシーファルミの羊小屋。5匹いるにはそれぞれ名前があります

素材となる羊毛は自家牧場で飼育している5匹の羊の他、提携している近隣の羊牧場にいる羊の毛を使用しています。刈り取られた健康な羊達の毛は、染色家の手によって草木染めで加工。ナチュラルで深い風合いのある毛糸はびっくりするほど柔らかな肌触り!良質なオーガニックの餌と広大な土地は、羊にとっても最適な環境である証拠です。


ニッティングを行うSalliさん(左)とSoiliさん(右)。すさまじい手際の良さでニット帽を編んでいきます

ミッシーファルミの大きな特徴のひとつがそのニッティング方法。村に住むおばあちゃん達に手によって、ひとつひとつ手編みで行われているのです。月に一度あるミーティング以外は、好きな時間に好きな場所で、おばあちゃん各自のペースで作業しています。ブランドに協力し始めて4年になるというSalliさんは「この歳になると、毎日することがあるということ自体が大事。孫にプレゼントを買うお金もできるし、とても楽しんでやっていますよ」と言います。「編み物をはじめたのは7、8歳ぐらいの頃だったでしょうか。家には毛糸を紡ぐ機械もありました。母の姿を見て自然と編み方を覚えていった気がします。私達の世代にとってはとても身近な営みなんですよ」と話すSoiliさんも、ブランドを長く支える作り手のひとりです。

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