吉岡徳仁1/3--未来を考え歴史を超えるクリエーション【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2013年12月21日 20時11分
吉岡徳仁氏
吉岡徳仁の経歴は、華やかであるばかりか、健やかだ。倉俣史朗、三宅一生という、20世紀の日本のクリエーションを象徴する「時の人」のもとでデザインを学び、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立した。
その間20年以上にわたり「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の展覧会やスペースのデザインを手掛け、更に「スワロフスキー(SWAROVSKI)」「カルティエ(CARTIER)」「エルメス(HERMES)」など、世界の著名ブランドにクリエーションを提供してきた。 01年にはハニカム構造を利用した紙のイス「ハニーポップ(Honey-pop)」が世界の注目を浴び、更に02年から手掛ける光学ガラスのプロジェクトも国内外で高く評価された。
08年には21_21DESIGN SIGHTにて吉岡徳仁ディレクション「セカンド・ネイチャー」が開催され、ミュージアム規模のインスタレーションに着手するようになる。10年には韓国・ソウル市で過去最大規模の個展「Tokujin Yoshioka _ SPECTRUM」が開催された。
現在、国内での公立館初の個展「吉岡徳仁―クリスタライズ」展が東京都現代美術館で開催されている。自然結晶により造形された彫刻やインスタレーション。クリスタルプリズムの光を使った「虹の教会」の建築構想。自然がつくり出す「偶然の美しさ」から、人の感情に響くクリエーションを試みる実験が、その全容を現した。またそれは、ミクロサイズの結晶から森羅万象の神秘をうかがい知るきっかけとなり、発想の転換をもたらしてくれた。
「感動するものをつくりたい。とてもシンプルなんです。自然から学び、ものをつくってきました。その生みだされたものが、ある時は建築になったり、また絵画になることもあります。分野を超えて自然に生まれたものです。私にとって創造とは、未来について考えながら、歴史を超えるものづくりをしていくこと、科学やテクノロジーなどへの関心と結びつくことで、新しい発想が生まれるのです。自分の想像を超えた、決して解明できない神秘的な領域の中で、ものづくりを融合させたいと思っています。
想像力には限界がありますし、実験を重ねる中で、偶然から生まれる美を信じているところがあります。『Honey-pop』をつくった時も、紙は建築やプロダクトデザインではある意味タブーとされてきた素材ですが、つぶれることで生まれる美しさを発見して、それを固定化することを目指しました。かつてのハニカム構造の発見は、歴史を少なからず変えたといえるでしょう。それを単なるパフォーマンスに終わらないアイデアに熟成させようと試みました」
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