吉岡徳仁2/3--「自然から生み出されるもの」への探求【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2013年12月22日 20時0分

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吉岡徳仁氏

吉岡のキャリアを定点から観ていて感じるのは、自然現象への強い関心によって、デザインから純粋芸術へと、自身の活動領域の拡張してきた、その制作欲求の強さだ。 「自然から生み出されるもの」に対する彼の探求は、今最も見直されるべき問題ともいえる、人間と自然の関係性を照射し、更にそれを「Crystallize(=形を与え、結実させる)」しようとしている。

「素材にとても関心があります。今進行中の海外プロジェクトでも、具現化したい強い欲求に駆られる素材を扱っています。宇宙開発からスピンオフで生まれた、軽量で強度の高い機能素材を、表現の一部として使いたいとも考えています。宇宙の未知のゾーンに、生きている間に行ってみたいですね。宇宙開発は、人間の価値観も政治も変えるはずです。価値観というものは必ず変わる可能性を秘めているはず。アーティストの定義だって、生きものですから、近い将来変わることがあるかもしれません。

三宅一生さんという方は、不思議な立ち位置の人で、決して価値観を限定しないんですね。もしかしたら面白いかも、という地点から何でも始まる人。仕事場でもそういった特別な時だけ、自ら前に出てくる。造形のできる人材を求められていましたから、バッグからイスまで、なんでもつくりました。実験室的な位置付けだったんでしょう、僕が『こんなものできました!』といって見せにいくときが一番喜んでくれましたね」

■ブランドのIDを伝える表現力が求められます

三宅一生との数々のプロジェクトを経て、これまで様々なブランドとのコラボレーションを手掛けてきた。 数々の作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ポンピドゥー・センター、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館、ヴィトラ・デザインミュージアムなど、世界中の美術館で永久所蔵品に選ばれている。

また近年では、ミラノサローネでのブランドコラボによるインスタレーションが高く評価された。

「サローネなどの展示会では、プロダクト自体がリアリティーであるとすれば、それを実現する仮設空間は非現実的なものです。しかし、そこで観る人々が共有するイマジネーションを具現化していなければ、共感は得られません。そこにはビジネス的視点も必要で、ブランドのIDを伝える表現力が求められます。

車の場合特に、これまでPRの主流はイメージ戦略でした。しかし、情報のスペックが均質化し、視覚的な情報が過剰に溢れている現在、広告とマーケティングの時代は終わり、人それぞれが自身で感じとったことを広めていく時代といえます。その中でユニークさを保つことは非常に困難です。インターネット上の音楽配信や3Dプリンターの普及に見られるような「ソフト=ゼロ円時代」に、イメージ戦略でビジネス価値を生み出すことは難しい。デザインには、ブランド価値を高めるだけでなく、車を取り巻く文化そのものをつくり出す責任があるのです。ヒトやモノの移動という歴史の中で何が重要なのか。その考え方が背景にあるクリエーションであるべきです。そしてそこに直結した仕事は教育にあるとも考えています」

3/3へ続く。

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