【日本モード誌クロニクル:横井由利】2/12--モードが日本にやって来た。ディオールからケンゾーまで
FASHION HEADLINE / 2013年12月29日 20時30分
『YSL The Beginning of a Legend』(アルク刊)
米『Harper’s BAZAAR』の編集長カーメル・スノーは、クリスチャン・ディオール(Chiristian Dior)の初コレクション(1947年)が終わると「これこそニュールックだわ!」と叫び、その言葉が世界中に配信されると、一夜にしてムッシュ・ディオールは時の人となった。
それから5年後の1953年、大丸百貨店はディオール社と独占契約を結び、翌年オートクチュールのディオール・サロンを百貨店内に開設した。メディアを通してしか知りえなかったパリのモードを、日本女性が目にした記念すべきできごとだった。6年後の、今上天皇の結婚式で美智子妃殿下がお召しになったウエディングドレスがディオール社のものだったことは、後に公にされた。
1958年、日本マーケットを調査するため来日したピエール・カルダン(Pierre Cardin)は、文化服装学院で立体裁断の授業を行い、高田賢三を始め、その後日本を代表するデザイナーとなった学生達をおおいに刺激した。翌年高島屋とオートクチュール販売の契約を結び、以後生活雑貨に及ぶライセンスビジネスをスタートさせていった。
また、イヴ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)は帝国ホテルで開くショーのため1963年に初来日した。三島由紀夫は『肉体の学校』(ちくま文庫)に、ショーが始まる前にそのプレッシャーに押しつぶされそうになっているサンローランのナイーブさを描写している。後に西武百貨店と契約が成立し、池袋店にサロンを開設することになり、当時のファッションアイコン、女優の加賀まりこや作詞家の(故)安井かずみが、顧客リストに名を連ねた。
高度経済成長期のまっただ中、百貨店がインポートブランド(モード)導入に力を注いだ時代だった。オートクチュールとは言え、最新コレクションの型紙と布地を買い付け、縫製を日本で行うというライセンスビジネスだ。
当時、日本の女性にパリモードの空気感を伝え、夢を与えていたのが、「服装」「装苑」「ドレスメーキング」などのファッション誌だった。どのファッション雑誌もクチュールメゾンのシルエットを模した型紙を巻末に添付していた。最新パリモードは店頭に並んだものを買うのではなく、模倣して作る時代、その情報を提供するのがファッション誌の役割だった。
1968年パリで起きた「五月革命」を境に、民主化の気運はモード界にも及んだ。一部の富裕層を対象にしたオートクチュールから、おしゃれを自由に楽しみたい若い女性にも手が届くプレタポルテ(既製服)の時代が訪れた。クチュールメゾンと並行してモードの民主化に取り組んだイヴ・サンローランは、66年セーヌ左岸にプレタポルテのブティック、サンローラン・リヴ・ゴーシュをオープンした。
パリに渡った高田賢三は、1970年ギャラリー・ヴィヴィエンヌに「ジャングル・ジャップ」をオープンし時代の寵児となった。賢三は、リヴ・ゴーシュのサンローランと肩を並べ、パリを代表するプレタポルテのデザイナーになった。
その年、平凡出版社(現マガジンハウス)は海外モード誌と提携した『アンアン/エル・ジャポン』を創刊した。
(3/12--モード誌元年はこうして始まった。『アンアン/エル・ジャポン』創刊に続く。)
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