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廣瀬雄一2/2--オリジナルブランドで小紋を革新【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2014年7月21日 8時15分

パステルカラーのストールは、和が前面には出ない

廣瀬は、日本の伝統文化である江戸小紋をもっと楽しんでもらうためにはどうすれば良いのかを熟考した結果、今の時代でも小紋によるアイテムを提案するためにストールブランド「コモン(comment?)」を立ち上げた。江戸小紋には多くの柄が存在するが「江戸小紋三役」と呼ばれる代表的な柄の一つ「鮫文様」の上に別な柄を重ねた「二重染」という廣瀬染工場独自で考案した技法で染められたシルクとカシミヤ製のストールを展開している。色合いも柔らかなパステルトーンが並び、和が前面に出たデザインではない。

「職人修行を始めた頃、自分が海外で仕事をするなんて考えてもいませんでした。でも、400年の歴史を誇る江戸小紋であっても近年の着物着用人口が減少によって生産数が減っている。日本一の職人になろうと自分がどんなに修行を積んでも小紋を身に着ける人がいなくなってしまったら、と考えると職人として先が見えなかった。着物(反物)にハサミを入れて小物を作ることに抵抗がある職人もいましたが、江戸小紋を普及させるためには、そのこだわりを覆しデザインに江戸小紋をどう落とし込むか、時代にどうマッチさせていくかを考えた結果、オリジナルブランドを立ち上げました。これまでは反物の幅と同じ幅の型紙を一方向にずらす方法でしか型付けをしていなかったので、ストールのように広い幅の生地に型付けをするのはとても難しく、技術的にも新たな挑戦でした。現在では、日本だけでなくニューヨークやパリ、ミラノでも展示会に出展していて世界に向けて江戸小紋の魅力を発信しています」

かつてはシドニーオリンピックの強化選手だったというウインドサーフィンの経験からインスパイアされた色や柄を考案することもあるという廣瀬。コモンはシーズン毎にテーマを決め、「鮫文様」をベースに「アブク」や「アワ」「サザナミ」など海や水にかかわるモチーフからインスパイアされたデザインが多い。そんな中、世界でも通用するデザインとして新しく登場したのは“馬”のモチーフ。将棋では福を招くと言われる左馬を青海波という文様に見立てて描いた「ヒダリウマ」、伝統的な小紋柄の馬がたてがみをなびかせて颯爽と駆け巡る姿を描いた「ヨセウマ」、幸運のシンボルとも言われる馬蹄形をブランド名の頭文字“C”に見立ててデザインに重ねた「バテイ」など、鮫文様の上に馬柄を重ねている。

「世界的に見ても縁起の良いモチーフと言われる馬を柄に採用したのは、商品が世界で流通する時、一つひとつのデザインに語れるストーリーを持たせたかったから。400年続く伝統文化である江戸小紋をいかに現代的なアプローチで現代・次世代へ伝えていくか考え、新しい物を取り入れつつ国内へ、そして世界へ広がって行ってもらいたいです。着物は着ないという人にもファッションアイテムとして江戸小紋を知ってもらって身近に感じてもらい、そしていつか江戸小紋の着物を手に取ってもらいたいですね」と真っ直ぐな目で語った。

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